欧州向け新型シビックの重要性は? ホンダ幹部に直撃 ソニーとの提携の今後

公開 : 2022.03.30 18:25

日本仕様にはないシビックe:HEVを投入するなど、欧州で電動化を進めるホンダ。その幹部に話を聞きました。

電動化進める欧州ホンダ

ホンダは、欧州で2030年までにEVと水素燃料電池車の販売比率を40%、2035年までに80%にする計画だ。先日、欧州向けのシビックe:HEVや2023年発売予定のe:Ny1のコンセプトを公開し、電動化に向け新たな一歩を踏み出した。

英AUTOCAR編集部は、欧州ホンダのトム・ガードナー上級副社長に単独インタビューを行った。

――SUVの台頭、ジャズ(日本名:フィット)の販売ボリューム、EVへの完全移行などを考えると、新型シビックの重要性はどの程度のものなのでしょうか?

ホンダe:Ny1コンセプト
ホンダe:Ny1コンセプト    ホンダ

「シビックは、当社のグローバルな柱の1つです。2年連続で北米カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。欧州、特に英国では、ダイナミックな5ドア・ハッチバックとしてよく知られています。このクラスにはまだ多くの魅力があるのです。そして、タイプRのような輝かしいモデルにつながっています」

――欧州向けの新型シビック・タイプRは来年登場します。それについて、何か教えてください。

「タイプRについては、いずれもっと情報が出てくるでしょう。当社のDNAの非常に重要な部分を担っています。タイプRはホンダの代名詞であり、我々のレースの伝統が組み込まれた製品です。それは人を笑顔にさせるものです」

「日本の上司が運転した後、親指を立てた絵文字入りのメールを送ってきました。とても良い感触です」

――高性能電動モデルの準備は進んでいるのでしょうか?

「出すかどうかは、まだなんとも言えません。当社はこれからも、走る喜びを演出する製品をパッケージングしていくつもりです。ダイナミクスを維持することを考えており、その点ではホンダeで賞賛されています」

――Bセグメントの電動SUVについて教えてください。サイズの近いHR-V(日本名:ヴェゼル)によく似ているのでしょうか?

「HR-Vと同じ特徴をいくつか持つことになります。プラットフォームは、e:NアーキテクチャーFと呼ばれる、前輪駆動と走行性能に重点を置いた別のものです。新型車は完全なバッテリーEVであり、家族連れや新しいライフスタイルの提案にぴったりな、別のセグメントに位置します」

ソニーとの提携の影響は?

――ホンダは、次期CR-VPHEVを導入します。さらに導入する予定はあるのでしょうか?

「これが1台目のPHEVです。CR-Vはその需要がかなりあるクラスなので、市場に投入できることを嬉しく思っています。他のPHEV製品については、今のところ明言はできません」

「ホンダは、燃料電池、e-fuel、交換可能バッテリーなど、排出量ゼロに向けたマルチパス戦略を推進しています。このPHEVはその一翼を担うものです」

――多くの自動車ブランドが家族向けSUVを目指したのに対し、なぜホンダは低航続距離の小型車からEVを始めたのでしょうか?

ホンダe
ホンダe

「都市型のクルマは、最初のバッテリーEVとして最もふさわしいものでした。プロジェクトリーダーが目指したのは、ホンダeを初めて見た人が『すごい』と言ってくれること。ホンダの伝統に忠実であり、電動化の意図を示すフラッグシップである必要から発展したのです」

――ソニーとホンダの提携は、欧州ではどのような影響を与えるのでしょうか?

「今後どうなるかについては、まだ状況を整理しているところです。2025年に製品の発売を目指しており、野心的な目標です。日本、米国、欧州で販売する予定です。ホンダの強みは、ハードウェアと車両開発、そしてネットワークでの顧客サポートです。ソニーには、デジタル化と新しい顧客体験で強みがあります」

「ホンダはこれまでにもさまざまな提携を結んできました。例えば、ゼネラルモーターズ、グーグル、クルーズ、そして今回のソニーとの提携です」

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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