新風を吹き込むSUV マセラティ・グレカーレへ試乗 MC20用V6ツインターボで530ps 前編

公開 : 2022.04.05 08:25

マセラティらしく妖艶なスタイリング

今回試乗したグレカーレも、そのトロフェオだった。ただし、許された試乗時間が短く、ルートも大都市のミラノとその郊外に限られていた。高級SUVが実際に用いられる環境ながら、動的能力のすべてを探ることは難しかった。

しかも、履いていたタイヤは柔らかいスタッドレス。試乗日の気温は春を通り過ぎて、24度もあったのに。

マセラティ・グレカーレ・トロフェオ(欧州仕様)
マセラティ・グレカーレ・トロフェオ(欧州仕様)

ハイブランドのSUVとして、見た目は非常に重要だろう。グレカーレは、混雑した市街地でも沢山の視線を集める、妖艶なスタイリングをまとっている。実際の全長も100mmほど長いのだが、ポルシェ・マカンより大きく見え、存在感が強い。

造形としての特徴は、やや薄いかもしれない。しかし過去のモデルにも通じる、マセラティらしさを漂わせている。

フロントグリルは、同ブランドの他モデルにも通じるワイドなもので、トライデント・マーク部分の上が尖っている。エンブレムもかなり大きい。フロントフェンダーの後ろには、3連のエアベントが与えられている。

高性能なトロフェオの場合、マフラーはスクエア形状の4本出しになり、アルミホイールは21インチへ拡大。ブレーキはフロントが6ポッド、リアが4ポッドのキャリパーと、大径ディスクへグレードアップされる。

またリア・トレッドが広がることに合わせて、ボディも34mmワイド化。全幅は1982mmになるという。

格調高いイタリアン・ラグジュアリーな車内

グレカーレへ乗り込もうと接近すると、ドアハンドルはボディ面と一体のフラッシュタイプだった。タッチセンサー式で、触れると立ち上がり開閉できる。

インテリアは、格調高いイタリアン・ラグジュアリーで満たされている。ソフトで肌触りの良いレザーがほぼ全面を覆い、丁寧なステッチが施され、眺めているだけで豊かな気分になれる。

マセラティ・グレカーレ・トロフェオ(欧州仕様)
マセラティ・グレカーレ・トロフェオ(欧州仕様)

ドライビングポジションは、SUVだから高めだが、このクラスとしては低い方。レザーシートが心地良い。

ダッシュボードの中央には、巨大なタッチモニターが鎮座する。その上部には、マセラティの伝統といえる、小さな時計が据えられた。これもモニターで、音声認識機能のバーチャルアシスタント「ヘイ・マセラティ」のインターフェイスにもなる。

インフォテインメント・システムは、無線通信が可能なコネクティビティにも対応。最新の技術は一通り網羅したといっていい。

見た目は印象的なものの、実際の機能性はそこまででもない。タッチモニターの反応は、鈍い時がある様子。実際に押せるハードスイッチの一部にも、質感のそぐわないものが紛れていた。

肉厚のリムを3本のスポークで支えるステアリングホイールには、2つの丸いセレクター/ボタンが付いている。マセラティMC20の車内でも、見覚えがある装置だ。

1つはドライブモードを選択するダイヤル。オフロードとコンフォート、GT、スポーツが標準のメニューで、トロフェオにはコルサが追加される。もう一方は、エンジンのスタートボタンになっている。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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