ボルボV40 ドライブ-E D4

公開 : 2014.06.20 23:35　　更新 : 2017.05.29 19:08

■どんなクルマ?

完全なる新設計の190psのドライブ-Eモジュール・エンジン・ファミリーの一員であるD4ディーゼルを搭載する、ボルボで最も売れ筋のV40ハッチバックをスウェーデンにてテストした。

CO2排出量は99g/kmと優れているのだが、さらにエンジン・パフォーマンスは同クラスの1.6ℓディーゼル・エンジンを搭載するライバル勢よりも、おおよそ70ps-80psほど高い出力を発揮する。

英国ではドライブ-E D4とともに、248psを発揮する高出力ガソリン・ターボ版のドライブ-E T5も今月中にリリース予定だ。両エンジンは、フロント・マスクとナビゲーション／インフォテインメント・システムを改良し、ガラス・サンルーフをオプションにて選択できるようになる2015年版のマイナー・チェンジされたV40ラインナップを牽引していくことになるだろう。

その上、ゆくゆくは2.0ℓのガソリン・エンジンは142psから304psへ、ディーゼル・エンジンは122psから233psへとパワーの拡大が図られる予定だという。

中期的な指針としては全てのモデルに4気筒エンジンを組み合わせていく予定ではあるが、ボルボに新しく加わったパワー・トレイン部門のチーフであるマイケル・フライスは2.0ℓと基本構造を共有する1.5ℓ3気筒エンジンの開発にも力を注ぐと言う。

■どんな感じ?

スウェーデンはヨーテボリに位置するボルボの本拠地にほど近いコースにて、オートカーは8速オートマティックを組み合わせたV40 D4を独占的にテストした。こちらのモデルは、売り上げの大半を占めるであろう6速マニュアルのCO2排出量より10g/km多い、109g/kmを発生する。

ベルギーとオランダ西部に位置するホラントでは、細くつるりとしたタイヤと組み合わされたモデルも発売予定で、こちらのCO2排出量はわずか85g/kmにまで抑えられている一方、ボルボ製の控えめな出力の152psを発揮する2.0ℓ D3の場合は136g/kmとなる。

ボルボのエンジニアは、これ程までにエンジンの高効率化に成功した理由を、ピストン・ボウルの入ったシリンダー・ヘッドと、デンソーと共同開発開発した、個々のインジェクターのセンサーが各気筒の圧力計測を行うi-ARTインジェクター(その代わりにコモン・レール中央のセンサーの正確性は劣る)に集約されると言う。その結果、燃料調節の精度が向上し点火タイミングが優れ、燃焼効率も上がることにより、さらに高効率かつ洗練されたエンジンになるのだという。

われわれがテストしたD4は、その恩恵を受けて0-100km/hを6.8秒で駆け抜けたのだが、それ以上にエンジンの洗練度合いとスムーズなパワー供給にただただ感動するばかりだった。

ドリフトを試みた時には、低回転の方がトルクが大きく、レスポンスにも優れるという理由から、しばしば1500rpmあたりまで回転を落とすことがあった。もし速度を要するようなシチュエーションに遭遇したときは、ギアを数段落としてアクセルを踏みこむ方が良いだろう。

高速巡航の際は、長めのギア・レシオのおかげでクリーミーな3000rpmよりも上を使うことは滅多にないし、またスウェーデンの厳格なスピード規制のおかげで225km/hより速い速度で走ることもなかった。

V40 D4にに組み合わされるエンジンは、市場に出回る2.0ℓ4気筒エンジンのほとんどに打ち勝つことのできる磨き上げられたパフォーマンスを発揮する。そのうえオプションを含めて￡35,000(608万円)という価格は、同クラスのメイン・ストリームになるだけの競争力を持つ。さらには、ルックスにも優れ、快適で、税金の安さを考慮すれば、多くの購入者を満足させることが出来るだろう。

■「買い」か?

買わない理由を見つける方が難しい。この車を買うということは、素晴らしいルックスと目を見張る環境性能を一挙にして手にすることに等しいのである。厳密な数値テストを行う機会には恵まれなかったのだが、スウェーデンでの320kmにも及ぶテストの結果、複合サイクル燃費は26.3km/ℓという高燃費を示した。したがって日常での使用でも20km/ℓ以上は約束されるはずだ。

決して安価ではないが、月々のガソリン代が安くなることは間違いない。ボルボは使用するパワー・トレインをプラグ・イン・ハイブリッドのモデルにも適用する日が来ることを示唆しているが、それまではこのモデルが大いに優れた仕事をすることは間違いない。ボルボは世に憚る大企業がもはや手を出すことを躊躇うほどの、高次元でのパフォーマンスと経済性の両立に成功したのだ。

(スティーブ・クロプリー)