25年の進化を辿る ランドローバー・フリーランダー x ディスカバリー・スポーツ 前編

公開 : 2022.06.18 09:45  更新 : 2022.08.08 07:08

買収したBMWがプロジェクトを推進

試作車は完成したものの、プロジェクトを量産モデルへ仕上げるに当たり、当時で4億5000万ポンドという開発予算が必要だった。そこで1993年、ブリティッシュ・エアロスペース社はエルシーに、開発パートナーの開拓を命じたという。

彼がアプローチした企業が、マグナ・シュタイア社とカルマン社、そして日本のホンダ。しかし話はまとまらず、フィンランドのバルメット社に持ちかけると、少しの進展を得られた。

ランドローバー・フリーランダー 1.8i(1997〜2006年/英国仕様)
ランドローバーフリーランダー 1.8i(1997〜2006年/英国仕様)

ところが1994年2月、ランドローバーを含めるローバー・グループをBMWが買収。計画は一旦棚上げされてしまう。

だが実際は、新しいブランド・オーナーは非常に協力的だった。「BMWは、このプロジェクトに感銘を受けた様子でした。ランドローバーの将来へ大きな影響力を持つ、素晴らしい手段だと認められたんです」

「BMWによる買収は、容赦ない支配とは真逆の、夢のチケットといえるほどポジティブなものでした。より優れたデザインと上質な製造品質、洗練性を得るよう、推進してくれたんです」

晴れて1997年9月、まったく新しいランドローバー・フリーランダーが発表される。構成する部品のすべてが、従来のランドローバー・モデルと共有されていなかった。

スタイリングを手掛けたのは、現在JLR社でクリエイティブ部門を率いるジェリー・マガバーン氏。ターゲットは、トヨタRAV4やホンダCR-Vがしのぎを削る市場に定められた。ランドローバーという、ブランド力を後ろ盾に。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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