往年のビッグサルーンを彷彿 シトロエンC5 X PHEVへ試乗 上級グランドツアラーの再起

公開 : 2022.08.10 08:25  更新 : 2022.08.10 22:27

上級グランドツアラーな雰囲気が懐かしい

パワートレインは、180psを発揮する1.6Lのガソリンターボ・エンジンに110psの駆動用モーターが組み合わされた、PHEVが一番パワフル。システム総合では225psとなり、8速ATが組み合わされ、前輪駆動のみとなる。

駆動用バッテリーの容量は12.4kWhあり、満充電なら最長59kmを駆動用モーターだけで走行可能。CO2の排出量はカタログ上では30g/kmと低く、英国では税金面でも有利だ。このほかに130psの1.2L 3気筒ターボと、180psの1.6L 4気筒ターボも存在する。

シトロエンC5 X PHEV 225 シャイン・プラス(英国仕様)
シトロエンC5 X PHEV 225 シャイン・プラス(英国仕様)

今回、英国の一般道で試乗したのはPHEV 225。ステアリングホイールを握ってみると、以前の懐かしいビッグ・シトロエンに通じる、ラグジュアリーなグランドツアラー的雰囲気を感じて、うれしくなった。

PHEVのパワートレインは基本的に上質で、静かにクルマを動かしてくれる。ほぼ無音の駆動用モーターでの走行後に内燃エンジンが始動すると、稀にその介入が気になる程度だ。

センターコンソールのスイッチを動かすと、スポーツ、ノーマル、コンフォートからドライブモードを選択できる。PHEV 225にはアダプティブダンパーが備わり、限界領域ではモードに関わらず、しっかりボディを制御してくれる。

結局、柔らかいコンフォート・モードが筆者のお気に入りだった。

しなやかな乗り心地とクルージングの快適性

公道を走っていると、ボディはひと回り小さく感じられてくる。ステアリングホイールの重み付けが程よく、レシオは適度にクイック。乗り心地はフラットで落ち着いている。ロードノイズも小さい。

アクセルペダルを踏み込めば、0-100km/h加速7.9秒という、不足ない加速力を引き出せる。最高速度は233km/h。滑らかで低いシルエットが生む、Cd値0.29という小さな空気抵抗のおかげだ。

シトロエンC5 X PHEV 225 シャイン・プラス(英国仕様)
シトロエンC5 X PHEV 225 シャイン・プラス(英国仕様)

試乗では、最も謙虚な1.2L 3気筒ターボのシャイン・プラスにも乗ってみた。パワーは控えめだが、8速ATが巧みに変速することで最大トルクを活用でき、走りに不満は感じられなかった。

シトロエン自らも、新しいC5 Xと往年のビッグサルーンとの関係性を主張する。筆者が運転した限り、その結びつきは本物といって良さそうだ。

従来のモデルと比べれは、C5 Xは一般的な内容ではある。だが、しなやかな乗り心地や長距離クルージングの快適性などには、シトロエンらしさが満ちている。Dセグメント市場に、一石を投じる新モデルであることは間違いないだろう。

シトロエンC5 X PHEV 225 シャイン・プラス(英国仕様)のスペック

英国価格:3万9960ポンド(約667万円/試乗車)
全長:4805mm
全幅:1865mm
全高:1485mm
最高速度:233km/h
0-100km/h加速:7.9秒
燃費:65.9-82.2km/L
CO2排出量:30g/km
車両重量:1826kg
パワートレイン:直列4気筒1598ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:12.4kWh
最高出力:225ps(システム総合)
最大トルク:−
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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