現代モデルでは得難い運転の喜び フェラーリ・テスタロッサへ試乗 父の愛車 前編

公開 : 2022.08.10 08:25

実は比較的コンパクトなボディサイズ

ボディの横へ近づくと、サイド・エアインテークに隠されたドアハンドルへ自然と腕が伸びる。ボンネットとエンジンカバーを開くことも、チルトだけするステアリングホイールの位置調整も、ハンドブレーキのリリースも、考えずにできた。

新車当時は、テスタロッサは全幅が広すぎて乗りにくいという批判が挙がった。ところが実際は1980mmで、フェラーリ458イタリアと大きくは違わない。実際に乗ってみれば、さほど不満は感じられないはず。

フェラーリ・テスタロッサ(1984〜1991年/英国仕様)
フェラーリ・テスタロッサ(1984〜1991年/英国仕様)

全長は4500mmで、ミドシップ・スーパーカーの割にボディサイズは比較的コンパクト。運転席からの前方視界も良い。ステアリングは良く切れるし、荷室空間も想像以上に大きい。見た目からイメージするより、普段使いしやすい。

キーをひねると、ボッシュ社製の機械式インジェクションが、12本のシリンダーへガソリンを供給しだす。滑らかに回転し始める。

トランスミッションのフルードが冷えている時は、ゆっくりダブルクラッチを踏んで2速を選ぶ必要がある。あるいは、飛ばすか。

レイアウトとしては水平対向12気筒だが、向かい合うピストンは同じ方向に動くため、ボクサーユニットというわけではない。バンク角が180度の、V型12気筒と説明した方が正しい。

排気量が5.0Lもある、オーバーヘッドカムの48バルブ・ユニットだが、最高出力は英国仕様で390ps。排気量が1.3L多いF12ベルリネッタと比較すると、馬力は半分程度でしかない。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・フランケル

    Andrew Frankel

    英国編集部シニア・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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