231psのシングルモーター版登場 ボルボXC40 リチャージへ試乗 動力性能に不満なし

公開 : 2022.08.26 08:25

人気のXC40にシングルモーター版が登場。航続距離は少々見劣りするものの、動力性能は充分だと英国編集部は評価します。

231psと67kWhのシングルモーター版

ボルボのマーケティング部門は、少々先を見誤ったのかもしれない。ブランドに対しては、多くの人が未来的でエコフレンドリーなイメージを抱いていると思う。だが、バッテリーEV(BEV)の販売では、一部のライバルに出遅れた感がなくはない。

BMWメルセデス・ベンツジャガーアウディは、いずれもすでに複数のBEVモデルを提供している。だが、ボルボは少し展開が鈍いようだ。

ボルボXC40 リチャージ・プラス(英国仕様)
ボルボXC40 リチャージ・プラス(英国仕様)

ボルボ初となるBEV、パワフルなXC40 P8リチャージ、現在のXC40 リチャージ・ツインモーターが登場したのは2020年。2021年にはそのクーペボディ版のC40 リチャージが追加された。基本的には兄弟モデルといって良い。

今回試乗したのは、XC40のエントリーグレードといえる、シングルモーターのXC40 リチャージだ。スウェーデンのブランドが、1歩づつ拡大を続けていることは間違いないけれど。

駆動用バッテリーの容量は、リチャージ・ツインモーターより若干小さい。実容量で67kWhとなり、そのぶん車重は158kg軽い。航続距離は434kmから423kmへ、僅かに短くなっている。

リチャージ・ツインモーターの最高出力は408psもあったが、シングルモーター版のリチャージは231ps。0-100km/h加速は2.7秒遅い7.5秒がうたわれるものの、不足ない瞬発力を備えていることは間違いない。

不満なく速いスタートダッシュ

ベーシックなXC40 リチャージで選べる、コアと呼ばれるお手頃なトリムグレードも設定された。英国価格は4万5750ポンド(755万円)からで、より手の届きやすいものになっている。

リチャージ・ツインモーターは約6万ポンド(約990万円)だから、高価なコンパクト・クロスオーバーだという印象が拭えなかった。それと比べれば安く思える一方で、BEVが内燃エンジン・モデルと比較して高いことに変わりはない。

ボルボXC40 リチャージ・プラス(英国仕様)
ボルボXC40 リチャージ・プラス(英国仕様)

コア・グレードの場合、高効率なヒートポンプを用いたエアコンも、シートヒーターも装備されていない。どちらも冬の早朝などにはありがたい機能といえる。今回試乗したグレードはプラス。約6000ポンド(約99万円)高いぶん、どちらも備わっていた。

基本的な技術を共有するポールスター2と同様に、XC40 リチャージにはスタートボタンがない。キーを身に着けたまま運転席へ座り、大きなシフトセレクターをDにスライドさせれば発進できる。

シングルモーターで動力性能はツインモーターに劣るものの、33.6kg-mのトルクは瞬間的に発生するため、スタートダッシュは不満なく速い。アクセルペダルを踏み込むと、フロントタイヤが悲鳴を上げる場面もある。

トルクステアも明確に生じる。不快に感じるほどではなかったが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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