意外に信頼できるV8エンジン TVRキミーラ 英国版中古車ガイド シャシーの錆にご注意

公開 : 2022.09.01 08:25

新車時代のAUTOCARの評価は

時代遅れな部分はあるものの、クルマとの密接な感覚が素晴らしい。特別なモデルだという印象も、TVRへ求めるものだ。(1999年5月12日)

オーナーの意見を聞いてみる

ジェームズ・アガー氏:オートスポーツ TVRスペシャリスト

「1998年からTVRキミーラの販売と整備を手掛けてきました。驚くほど実用性は高いですが、しっかりとした手入れが欠かせません。予防的に」

TVRキミーラ(1991〜2003年/英国仕様)
TVRキミーラ(1991〜2003年/英国仕様)

「シャシーに錆が発生していないか確かめ、古いホースやブッシュ類は、早目に交換した方がいいでしょう。クルマの将来性を高め、後で悲しむリスクを減らせます」

「問題を予測的に解決していけば、キミーラとの素晴らしい時間を長期間楽しめます。わたしはフランスのル・マンへ、これまで5回も往復しています。掘り出し物といえる価格のキミーラは、間違いなく何らかのメンテナンスが必要でしょうね」

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

キミーラのエンジンは、ほかのモデルより安心できる。ローバーのV型8気筒は耐久性が高く、スペアパーツの入手もしやすい。タイミングチェーン式で交換は16万km毎。オイル交換は1万km前後が推奨となっている。

TVRはアイドリング状態を好まない。初期型では、冷却系に不具合が出ることがある。1994年以降のモデルは対策済みだ。

ボディ

TVRキミーラ(1991〜2003年/英国仕様)
TVRキミーラ(1991〜2003年/英国仕様)

FRP製のボディはサビない。角度で色が変化する玉虫色のような特殊な塗装で仕上げられていると、FRPの修復時に想像以上の費用が求められる場合もあるため、飛び石キズやひび割れには注意したい。

シャシー

飛び石などが原因で、横に張り出したトリガー部分の粉体塗装が剥がれ、深刻に錆びていることがある。一部のTVRオーナーは亜鉛メッキで防いでいる。購入後の衝撃的な事実を避けるため、可能な限り事前に確認しておきたい。

サスペンション

サスペンション・スプリングに破損がないか確かめる。ウイッシュボーンはスチール製で、比較的安価に交換可能。

電気系統

メーターパネルのバックライトなど、すべての電装系が正常に動くか確かめる。ECUとバッテリー、リレーは助手席の足元に搭載されており、整備作業がしにくい。

インテリア

水分が車内にこもると、ダッシュボードのウッドバネルが傷んでしまう。ガレージ保管が理想的だ。

知っておくべきこと

素晴らしい状態が維持されているキミーラも少なくないが、手頃な価格なら、酷い状態だと疑いたい。平均的な状態へ戻すには、少なくない作業が必要になるはず。

英国には、TVRを得意とする専門ガレージも少なくない。現在の中古車市場では、同年代のグリフィスが2万ポンド(約330万円)前後するのに対し、キミーラなら1万ポンド(約165万円)程度から見つかる。お買い得なTVRだといっていい。

TVRキミーラ(1991〜2003年/英国仕様)
TVRキミーラ(1991〜2003年/英国仕様)

キミーラはサスペンション・スプリングが柔らかく、ホイールベースが他のモデルより伸ばされており、穏やかに運転したいと思える性格付けになっている。それでも車重は1060kgと軽く、動力性能に不足はない。

記事に関わった人々

  • AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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