ロータリーの可能性 マツダRX-7(初代) UK版中古車ガイド(1) 想像以上に機敏な走り

公開 : 2025.08.03 17:45

ロータリーエンジンを積んだスポーツクーペ、初代RX-7 スペックから想像以上の機敏な走り シンプルな構造で耐久性は低くない ほぼ入手不可能な部品も UK編集部が中古車で魅力を再確認

エンジンルームの低い位置に載るロータリー

ロータリーエンジンに未来はあるのか。1979年9月の自動車雑誌、モーター誌は、初代マツダRX-7の試乗で読者へ問いかけた。

滑らかに回り美しいサウンドを奏でる、そのエンジンの可能性へマツダは以前から注目していた。技術の追求で、燃費も一般的なレシプロエンジンへ迫っていた。だが、多くの人へ購入してもらうという課題は、簡単に解決できるものではなかった。

マツダRX-7(SA・FB型/初代/1978〜1985年/英国仕様)
マツダRX-7(SA・FB型/初代/1978〜1985年/英国仕様)    ジェームズ・マン(James Mann)

そこで1978年に投入されたのが、軽く小さなRX-7。流麗なシルエットと、フレームレスのガラス製リアハッチが、先進的な印象を生んだ。子供を乗せるのに好都合な後席が備わり、それを倒せば大きな荷物も積め、実用性も担保されたクーペだった。

2ローターのロータリーエンジンは、エンジンルーム後方の、低い位置へ搭載。適度に引き締められたサスペンションは、連続するカーブで操る喜びを呼んだ。ブレーキは、ABSが登場する以前ではあったが、タイヤをロックするほど強力に効いた。

スペックから想像する以上の機敏な走り

「充足度の高いドライバーズカーです。ブレーキやトランスミッションは好印象。操縦系のレイアウトにも優れ、ロータリーエンジンは出色のスムーズさを叶えています」。先述のモーター誌は、疑問を解消するように称えている。

ただし、0-97km/h加速は9.5秒。燃費へ配慮され、初期型では動力性能に長けたわけではなかった。6700rpm以上回すと、エンジンの内部摩耗を予防するため、警告ブザーも鳴った。とはいえ、後期のFB型ではターボ化され、大幅に速さを増している。

マツダRX-7(SA・FB型/初代/1978〜1985年/英国仕様)
マツダRX-7(SA・FB型/初代/1978〜1985年/英国仕様)    ジェームズ・マン(James Mann)

初代RX-7のスタイリングを手掛けたのは、デザイナーの前田又三郎氏。バランスの取れたプロポーションで、優れた空力特性を実現し、燃費効率へ結びつけている。

タービンのように回転し、ノイズの小さいいロータリーエンジンは、一般的なレシプロエンジンより部品点数が少なくシンプル。FRのシャシーは、低重心で好バランス。ワインディングへ踏み出せば、スペックから想像する以上の機敏さで惹き込まれてしまう。

オーナーの意見を聞いてみる

「COVID-19でロックダウンになった時、塞ぎ込んでいた娘が、ロータリーエンジンのクルマが欲しいと口にしたんです。クラシックカーは沢山所有してきましたが、ロータリーは初めてでした」。と笑うのは、車両協力をしていただいたラス・マーロウ氏だ。

「彼女が25歳になったら買い取るという約束で、自分もお金を出しました。英国で20年間も保管されたままの状態でしたが、オリジナル度は高かったんです。初めてのロータリーエンジンは、勉強することが多かったですね」

マツダRX-7(SA・FB型/初代/1978〜1985年/英国仕様)
マツダRX-7(SA・FB型/初代/1978〜1985年/英国仕様)    ジェームズ・マン(James Mann)

「燃料タンクは錆びていて、ステンレス製へ交換しました。ラジエターもアルミ製へ交換済みです。マフラーは、ジャンスピード社製の物が付いていたんですが、オリジナルと同じように2本出しのものを探しました」

「燃料系が不調で、キャブレターは3度交換しています。温まった状態では、エンジンを止めない方が良いようです。オーバーフローし、火を吹く可能性があります。でもサウンドは素晴らしいですし、運転は凄く楽しいですよ」

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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