人気SUVがモデルチェンジ メルセデス・ベンツGLCへ試乗 ブランドらしい高みを醸す

公開 : 2022.09.08 08:25

動的能力を大幅に向上する四輪操舵

この6種類で英国編集部イチオシとなるのが、時代錯誤に聞こえるかもしれないが、GLC 220d。力強いスタートダッシュと中間加速を楽しめ、洗練性も素晴らしい。ディーゼルながら、エグゾーストノートも魅力的だ。

高い負荷がかかっても、粗野な振動やカラカラというノイズは車内に殆ど届かない。高速域での風切り音も、見事に抑えられている。比較的ロングに設定されたギア比と相まって、GLC 220dは快適に長距離移動をこなせる。

メルセデス・ベンツGLC(欧州仕様)
メルセデス・ベンツGLC(欧州仕様)

ディーゼルターボらしく燃費も良好で、カタログ値では17.0km/Lから19.2km/L。1925kgある背の高いSUVとして考えれば、感心するほどの高効率といえる。

新しいGLCでは、電動機械式となるパワーステアリングのダイレクト感が磨かれた。ボディロールも先代より抑えられており、カーブの続く道を従来以上に自信を持って運転できる。

英国ではエアサスペンションとのセットオプションとなる四輪操舵システムは、GLCの動的能力を大幅に向上。走りに振ったBMW X3ポルシェ・マカンといったライバルとの関係性を、一層悩ましいものにしている。

電動油圧システムによってリアタイヤの角度を最大4.5度変えることで、鋭い身のこなしを実現。四輪駆動システムが、それに応えるフロントタイヤのグリップ力を生み出す。

これらが相乗し、操縦特性はニュートラル。楽しいだけでなく、安心感や信頼感も高められている。

優れた設計が生むブランドらしい豊かな印象

サスペンションは前後ともにマルチリンク式となり、スチールコイルが生む乗り心地に不満はない。だが、アダプティブダンパーとペアになるエアサスの快適性や姿勢制御は、さらにそれを上回る。強い衝撃も見事になだめてくれていた。

オプションでオフロード・パッケージを選択すると、エアサスペンションのストロークに50mmが追加され、239mmの最低地上高までボディを持ち上げることが可能。より深刻な悪路にも立ち向かうことができるようになる。

メルセデス・ベンツGLC(欧州仕様)
メルセデス・ベンツGLC(欧州仕様)

新しいGLCの洗練性を叶えている要素の1つが、ボディシェルの中空部分に充填されたフォーム材。細部までのこだわりを感じさせる。

製造品質やオンロード・マナーといった面でも、長い歴史を持つブランドらしい高みにある。優れた設計が生む、豊かな印象をGLC全体が醸し出しているようだった。

新しいメルセデス・ベンツGLCの英国価格は、4万5240ポンド(約746万円)から。確かに安くはないものの、入口側にある220dでもライバルが到達しえない素晴らしい質感を堪能できるはずだ。

メルセデス・ベンツGLC 220d 4マティック(欧州仕様)のスペック

英国価格:4万5240ポンド(約746万円)
全長:4716mm
全幅:1890mm
全高:1640mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:8.0秒
燃費:17.0-19.2km/L
CO2排出量:136-155gg/km
車両重量:1925kg
パワートレイン:直列4気筒1993ccターボチャージャー+ISG
使用燃料:軽油
駆動用バッテリー:−
最高出力:196ps/3600rpm
最大トルク:44.7kg-m/1800-2800rpm
ギアボックス:9速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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