価格度外視で欲しくなる フォルクスワーゲンID.バズへ試乗 航続410kmのEVミニバン 後編

公開 : 2022.09.12 08:26  更新 : 2022.09.12 11:36

価格度返しで欲しくなるニューモデル

サスペンションはリアにマルチリンク式を採用し、乗り心地も良好。高速道路ではソフト傾向の設定が影響して緩やかに揺れるものの、路面の凹凸を滑らかに均していた。

全体的な印象としては、既存のID.モデルより熟成された印象がある。大きなボディサイズと軽くない車重が、秀でた洗練性や落ち着いた味わいをもたらしているのだろう。

フォルクスワーゲンID.バズ・スタイル(欧州仕様)
フォルクスワーゲンID.バズ・スタイル(欧州仕様)

今回の試乗では市街地のほか、高速道路も多く走った。天気は良く適度に温かいという、駆動用バッテリーには理想的な条件で、320kmを超える航続距離を確かめている。

現在のBEVの傾向として、気温が下がる冬場では20%ほど保ちが悪くなる。英国で発売される年末に乗れば、260km程度へ短くなるだろう。急速充電能力は170kWと充分に速い。

エントリーグレードのライフで5万7115ポンド(約942万円)からと、ID.バズは安いクルマではない。しかし、すこぶるカッコいい。デザインに惹かれるあまり、価格度外視で欲しくなるニューモデルの典型といえる。

インフォテインメント系の操作性は今ひとつだが、それを理由に諦める必要はないと思う。筆者としては、待望のフォルクスワーゲンのバスとして、凡調なシートレイアウトが少し肩透かしではあった。追って登場するキャンピングカー仕様に期待したい。

まずは今回の復活を祝福しよう。フォルクスワーゲンは、BEVの新時代に見事な再発明を成し遂げた。これからのID.バスにどんな展開があるのか、続報が楽しみだ。

フォルクスワーゲンID.バズ・スタイル(欧州仕様)のスペック

英国価格:6万1915ポンド(約1021万円)
全長:4712mm
全幅:1985mm
全高:1937mm
最高速度:144km/h
0-100km/h加速:10.2秒
航続距離:410km
電費:5.3km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2502kg
パワートレイン:AC永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:76.6kWh(実容量)
最高出力:203ps
最大トルク:31.6kg-m
ギアボックス:−

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

価格度返しで欲しくなる フォルクスワーゲンID.バズへ試乗 航続410kmのEVミニバンの前後関係

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