“シトロエン通”は知ってほしい、「C5 X」のデザイン/内装/乗り心地 ガソリン仕様を試乗!

公開 : 2022.09.11 20:45

後席・荷室で気付かされる空間使い

2785mmのロングホイールベースのおかげで、後席は身長170cmの僕なら足が組めるほど。前席より一段高めに座るのに、頭上空間がしっかり確保されていることも感心した。

外から見ると長めに感じるルーフは、実は居住性を考慮した結果であることを教えられた。

帰ってきた優雅なシトロエン。リアシートは足元も頭上の空間も十分。リアクォーターウインドウが備わり、後席乗員のための空間も明るい。
帰ってきた優雅なシトロエン。リアシートは足元も頭上の空間も十分。リアクォーターウインドウが備わり、後席乗員のための空間も明るい。    前田惠介

後方のラゲッジスペースは通常でも545L、後席背もたれを前に倒せば1640Lの容積を確保できるうえに、大きく開くリアゲートのおかげでアクセスがしやすい。たしかにワゴンやSUVの機能を併せ持っている。

パワーユニットは1.6L直列4気筒ガソリンターボと、これにモーターを加えたプラグインハイブリッド(PHEV)が用意される。今回乗ったのはガソリン車だ。

最高出力180ps、最大トルク25.5kg-mという数字は、Dセグメントのセダンとしては控えめに映るかもしれないが、シャインパックでも車両重量は1520kgと軽いので加速は十分。

遮音も車格にふさわしいレベルにあり、エンジン音が気になるようなシーンはなかった。

やっぱり……ハイドロから続く味

乗り心地については「どんぶらこ感ありますね」という編集スタッフの言葉が、的確に言い表しているのではないかと思う。

もちろんかつてのハイドロそのままというわけではない。ハイドロはエアスプリングにオイルの姿勢制御を融合させたもの。PHCはコイルスプリングにセカンダリーダンパー内蔵の油圧式ショックアブソーバーを組み合わせたものなので、揺れの周期やその後の収まり方は違う。

シトロエンC5 Xシャインパック(外装色:ブラン ナクレ、ルーフ:ノアール ペルラネラ)
シトロエンC5 Xシャインパック(外装色:ブラン ナクレ、ルーフ:ノアール ペルラネラ)    前田惠介

でも僕はデザイン同様、使うメカニズムは違っても目指す世界は一致していると感じた。そもそも人が乗り降りするだけでこんなに上下するクルマ、最近では珍しい。

そのわりにコーナーでのロールは抑えられていて、サイズから想像するよりすんなり曲がれるけれど、キビキビしているわけではない。PHEVに装備される、走行モードに応じてダンパー内の油圧をコントロールするアドバンストコンフォート・アクティブサスペンションなら、印象が変わるかもしれない。

とはいえ昔からのシトロエン好きとしては、PHCでも十分満足できる。ACCを速すぎないスピードにセットして、高速道路をゆったりクルージングすると、やっぱりシトロエンからは抜け出せないと思ってしまう。

しかも価格はベースグレードのシャインであれば500万円以下と、内容を考えればお手頃と思う人が多いはず。ブランドとしても好調なシトロエンの、現時点での集大成がこのプライス。乗って損はないはずだ。

C5 Xシャインパック スペック

車両価格:530万円
全長×全幅×全高:4805×1865×1490mm
ホイールベース:2785mm
車両重量:1520kg
パワートレイン:1598cc直4ターボ
最高出力:180ps/6000rpm
最大トルク:25.5kg-m/1650rpm
ギアボックス:8速オートマティック
駆動方式:前輪駆動
燃費(WLTC):-
乗車定員:5名
タイヤサイズ:205/55R19
最低地上高:165mm

シトロエンC5 Xシャインパックの荷室
シトロエンC5 Xシャインパックの荷室    前田惠介

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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