フェラーリ参入で再注目! 超高級SUV「プロサングエ」と「ロールス・ロイス・カリナン」 3つの共通点

公開 : 2022.09.14 09:35  更新 : 2022.09.14 09:35

フェラーリ・プロサングエが発表に。よく調べると、ロールス・ロイス・カリナンとの共通点も。2台の似ている点・異なる点を見比べ、超高級SUVのマーケットを紐解きましょう。

見た目も性能も、対極の2台

フェラーリが、ブランド史上初となるSUVモデル「プロサングエ」を発表した。

あくまでスポーツカーと説明されているが、事実上のSUV。

フェラーリ・プロサングエは、最高出力725ps/最大トルク73kg-mのV12エンジンを搭載。
フェラーリ・プロサングエは、最高出力725ps/最大トルク73kg-mのV12エンジンを搭載。    フェラーリ

それでも、腰高感を消したスタイリングと、アクティブサスペンションの初採用に踏み切るなど、“超高級スポーツカー”というブランド・アイデンティティを見失わなかったのは流石。

そのパワートレインには、自然吸気V12エンジン(725馬力)が選ばれ、ハイブリッドの道は歩まなかった。

近年、超高級ブランドから相次いで登場したスーパーSUVだが、そのスペックは様々である。

ランボルギーニウルス」シリーズ、アストン マーティン「DBX」シリーズ、ポルシェカイエン」の上位モデルなどは、V8エンジン車、またはV8ハイブリッド車だ。

12気筒というエンジン形式のフェラーリ・プロサングエは、唯一無二の存在にも見えるが、じつは共通点の多いもう1つの超高級SUVが存在する。

ロールス・ロイスカリナンだ。

1. エンジンの最高峰はV12

イギリスの最上級車として知られるロールス・ロイス。そのSUVモデルは、2018年に登場した「カリナン」である。

高級車ブランドという立ち位置は同じでも、スポーツカーの頂点であるフェラーリとは対極にあるラグジュアリーの頂点だろう。

ロールス・ロイス・カリナンは、最高出力571ps/最大トルク86.7kg-mのV12ツインターボを搭載。12気筒のSUVは、他にもベントレー・ベンテイガ・スピード(W12気筒)などが存在する。
ロールス・ロイス・カリナンは、最高出力571ps/最大トルク86.7kg-mのV12ツインターボを搭載。12気筒のSUVは、他にもベントレーベンテイガ・スピード(W12気筒)などが存在する。
    ロールス・ロイス

しかし両ブランドのSUV、「プロサングエ」「カリナン」には、V12ユニット搭載の内燃エンジン車という共通点がある。

プロサングエ:V12自然吸気 6496cc(725ps/73kg-m)
カリナン:V12ツインターボ 6748cc(571ps/86.7kg-m)

過給器の有無という違いはあるものの、高級SUVの多くが8気筒であるのに対し、“12気筒こそ頂点”であると誇示するように気筒数を揃えた。そして、いずれもハイブリッドを採用していない。

片や725馬力の(おそらくは)エモーショナルなフィーリング、片やエンジンの存在を感じさせない静謐なユニット。

本当の高級車には、宝石のようなV12エンジンが不可欠というメッセージが垣間見える。

2. 柱のある観音開きドア

自動車の世界で“消えては現れる存在”が、リアドアを後ろヒンジにした観音開きのパッケージング。それが、「プロサングエ」「カリナン」のもう1つの共通点だ。

一部のマツダ車をはじめとする国産車、日本メーカー以外ではBMW i3、ミニ初代クラブマン(右側のみアシメトリック・クラブドア)などで話題を呼んできた。

4ドア・4座のパッケージを採用するプロサングエは「観音開きドア」を採用した。リアドアの表面にはドアハンドルが見えず、スイッチを操作して開く。
4ドア・4座のパッケージを採用するプロサングエは「観音開きドア」を採用した。リアドアの表面にはドアハンドルが見えず、スイッチを操作して開く。    フェラーリ

見逃してならないのは、「プロサングエ」「カリナン」ともに、観音開きとはいえ、車体側にBピラーが残っていること。

国産車の観音開きには、ドア開口部に柱が存在しない「センターピラーレス」と呼ばれるアーキテクチャーが多い。その代わりに、ドア内部にピラーを埋め込んで強度を確保している。

フェラーリがBピラーを設けたのは、スポーツカーとして車体剛性の面で有利になるからだろう。全長4973×全幅2028(ミラー含む)×全高1589mmというサイズは、スーパーSUVとしては小ぶりだが、フェラーリが一から開発したボディなのだ。

ロールス・ロイスは「ファントム」にもBピラーのある観音開き(コーチドア)を用いている。

面白いことに、同じく英国を象徴するロンドン・タクシーも同様だ。

2枚のドアが、前ヒンジと後ろヒンジで、同時に開いたときの特別感はまるで迎え入れてくれるかのように見える。これもまた“普通の高級車”では演出できない、頂点のブランドに不可欠な要素なのかもしれない。

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  • 執筆

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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