得意分野は高速の長距離走行 DS 7 Eテンス 225へ試乗 小変更 Eテンス360も登場 

公開 : 2022.10.09 08:25

アウディQ5やBMW X3のライバルに当たるSUV、DS 7。PHEV主力へ更新された最新版を、英国編集部が評価しました。

フェイスリフトでPHEV主力のモデルへ

フランスのDSは、各モデルへ改良を加えながら、着実にプレミアム・ブランドとしての地位を固めつつある。モデル中期のフェイスリフトを受けたミドルサイズSUVのDS 7も、そのプロセスの重要な位置を担っている。

2023年仕様として手が加えられた内容で、驚くような部分はないだろう。LEDマトリックス・ヘッドライトは刷新され、デイタイムライトはバンパーの両サイドに、スリムな「く」の字で灯るようになった。

DS 7 Eテンス225(欧州仕様)
DS 7 Eテンス225(欧州仕様)

DSは、このデイタイムライトを「ライトベール」と呼ぶ。太さの異なるラインが5本並び、最新版としての違いを主張する。テールライトも細く変更。DS AUTOMOBILESとレタリングされる。

インテリアには、大きな変更は加えられていない。ダッシュボード中央の12.0インチ・タッチモニターは、最新バージョンのインフォテインメント・システムで稼働する。DS 4にも実装される、アイリスと呼ばれるソフトウェアだ。

反応は素早く滑らかで、表示メニューのカスタマイズも可能。少しクセがあるものの、慣れれば扱いやすいシステムだと思う。唯一、エアコンの操作系も集約されているため、モニターの表示を切り替える必要があるのは面倒に感じた。

フェイスリフトで最大の変化は、パワートレインの選択肢。DS 7はEテンスと名のついたプラグイン・ハイブリッド(PHEV)が主力のモデルへ改められた。ハイブリッドではないエンジン版は、1.5Lディーゼルターボのみだ。

プジョー508 PSEと共通のパワフル版も

DS 7のPHEVのラインナップは、前輪駆動のEテンス225と四輪駆動のEテンス300のほか、新たに追加された最もパワフルな四輪駆動のEテンス360。ちなみに3桁の数字は、馬力を表している。完全に一致するとは限らないけれど。

Eテンス360のハードは、基本的にはDS 9 Eテンス360やプジョー508 PSEと共通。200psを発揮する1.6Lガソリンターボ・エンジンと、108psの駆動用モーターをフロント側に搭載。リアタイヤは、112psの2基目の駆動用モーターが受け持つ。

DS 7 Eテンス225(欧州仕様)
DS 7 Eテンス225(欧州仕様)

この構成はEテンス300と同じだが、インバーターなどの制御系が異なり、駆動用モーターのパワー特性に違いが与えられている。結果として、システム総合での最高出力に60psの差が生まれている。

またEテンス360の場合、高性能モデルを手掛けるDSパフォーマンス部門がシャシーをチューニング。サスペンションを15mm落とし、左右のタイヤの間隔、トレッドはフロントで24mm、リアで10mm広げられている。

フロントのブレーキディスクは、380mmと大径なものを装備。タイヤはミシュラン・パイロットスポーツ4Sを履き、増強されたパワートレインを受け止める。

今回の試乗では、Eテンス225とEテンス360を試乗する機会を得た。フルスロットルを与えれば、パワフルな後者の方が間違いなく速い。だが、DSらしくリラックスして走るような場面では前者でも充分。DS 9と同様に、穏やかな方がより好印象ではあった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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