得意分野は高速の長距離走行 DS 7 Eテンス 225へ試乗 小変更 Eテンス360も登場 

公開 : 2022.10.09 08:25

得意分野は高速道路の長距離走行

1.6Lエンジン+2基の駆動用モーターというPHEVは、DSが属するステランティス・グループの他のモデルでも確かめている。高速道路のクルージングでは、滑らかに働き能力を発揮できる。だが、更に急ごうとするとギクシャク感が出てきてしまう。

1.6Lエンジン+1基の駆動用モーターという構成のEテンス225は、柔らかい乗り心地と若干長いEVモードでの走行距離のおかげで、より洗練された印象を受ける。DSというブランドに適った快適性だと思う。

DS 7 Eテンス225(欧州仕様)
DS 7 Eテンス225(欧州仕様)

それでも、ライバル以上の訴求力があるかと聞かれれば、回答には困る。乗り心地は良いのだが、完璧な仕上がりまでは得ていないためだ。

舗装の荒れた区間を走ると、やや落ち着きを失い強めの振動が伝わる。大きな起伏を越えると、ボディが揺れるような仕草も感取される。操縦性は安全志向だが、もう少し煮詰める余地はあるだろう。

パワートレインの特性も相まって、運転に充足感があるとはいえない。しかし、先述の通り高速道路の長距離走行は得意分野。乗り方次第では、印象は高まるはず。

インテリアに用いられる素材は高級感に溢れ、シートは身体をしっかり保持してくれる。ドライビングポジションはやや背中が置き気味ながら、居心地は良い。

車内は高速でも静か。フォーカル社のオーディオシステムの高音質を楽しめる。ボディサイズは、全長が4595mmでアウディでいえばQ3とQ5の中間くらいだが、Q5と比較しても車内空間は広く感じられる。

エントリーグレードの価格価値は悪くない

英国価格も、その2台の間といったところ。Eテンス225の場合、パフォーマンスライン・グレードで4万4190ポンド(約729万円)から。悪くない価格価値といえる。

しっとりしたレザー内装が与えられるのは、ミドルグレードのリヴォリから。DS 7という車格には合致すると思うが、そのぶん価格も高くなる。

DS 7 Eテンス225(欧州仕様)
DS 7 Eテンス225(欧州仕様)

独自性の強いデザインが与えられた、DS 7の色香は理解できる。だがハイブリッド・システムの能力やミドルグレード以上の価格を踏まえると、ライバルの方が魅力的に映ることも確か。このクラスの選択肢は多く、よく比較して選びたいところだ。

DS 7 Eテンス225(欧州仕様)のスペック

英国価格:4万4190ポンド(約729万円)
全長:4595mm
全幅:1895mm
全高:1631mm
最高速度:225km/h
0-100km/h加速:8.9秒
燃費:63.0-88.5km/L
CO2排出量:26-36g/km
車両重量:1735kg
パワートレイン:直列4気筒1598ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:14.2kWh
最高出力:227ps/6000rpm(システム総合)
最大トルク:36.7kg-m/3000rpm(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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