ホンダZR-Vは“誰”に向けた新型SUVなのか? デザインを探る(後編)

公開 : 2022.11.17 11:05  更新 : 2022.11.17 20:23

ホンダが「ZR-V」を来年4月21日に発売します。価格・サイズを発表。後編ではスタイリングを探り、どんなSUVなのか考えていきます。

2つの顔立ち グリルの違い

執筆:Wataru Shimizudani(清水谷 渉)

ついに発売日が明らかになったホンダの新型SUV「ZR-V」。価格と内装をレポートした前編につづき、後編ではデザインを詳しく見ていこう。

ZR-Vのスタイリングは、流れるようなシルエットとスポーティなスタンスを、球体のようなひとつのボリュームに凝縮している。

ホンダZR-V e:HEV Z(ノルディックフォレスト・パール)。ボディサイズは、全長4570×全幅1840×全高1620mm。
ホンダZR-V e:HEV Z(ノルディックフォレスト・パール)。ボディサイズは、全長4570×全幅1840×全高1620mm。    宮澤佳久

フロントまわりは、周囲の形状と連続性を持たせたバーチカル(垂直)グリルと、横長でシャープなヘッドライトにより、上質さとりりしさを表現。

リアは、下まわりにボリュームを持たせつつ、上に向かって滑らかに絞り込むことでワイドトレッドを強調した。

ちなみに、ZR-Vは2種類の顔を持つ。

今回発表された日本仕様では、クルマとの一体感を表現したフロントバンパー形状や、フロントマスク周辺と一体感を強める“周囲と連続性を持たせた垂直グリル”が特徴。

だが、北米モデルでは、日本仕様のデザインをベースに、ラギッドで力強い要素を強めたバンパー形状や、ホンダ北米SUVのラインナップに合わせたハニカムグリルを採用している。

2種の新色とグレードについて

ZR-Vのデザイン性を引き立てるボディカラーには、新色が2色採用された。

「ノルディックフォレスト・パール」は、静謐な森林のイメージを落ち着きのあるグレイッシュティールで表現した。

ホンダZR-V e:HEV X(ホンダアクセス用品装着車/プレミアムクリスタルガーネット・メタリック)。
ホンダZR-V e:HEV X(ホンダアクセス用品装着車/プレミアムクリスタルガーネット・メタリック)。    宮澤佳久

ブルーがかったグレーなのだが、モダンなソリッド感で、タイムレスな美しさや洗練された色気を醸し出している。

もう1色は、「プレミアムクリスタルガーネット・メタリック」。
燃えるような夕日や夜に浮かび上がる照明の艶やかさや深みを目指して、ソリッドとメタリックの2つのカラーを重ねた3コートカラーだ。移り変わる光で、豊かな表情が浮かび上がる。

この2色以外にも、ホワイトやブラック、ブルーなど、7色をラインアップしている。

ぴったりなユーザー層は?

ホンダでは、SUVの進化を3段階に分けている。

まず、山や荒れ地を走りたいというニーズから、オフロード性能を追求した、クロスカントリー的なSUV。つまり、SUVの初期にあたるモデルだが、これを「SUV 1.0」と呼んでいる。

造形にこだわったセンターコンソール。ドア/荷室の内張り下部は、傷を付きにくくするためにリブを連続させて、デザイン性と実用性を両立させている。
造形にこだわったセンターコンソール。ドア/荷室の内張り下部は、傷を付きにくくするためにリブを連続させて、デザイン性と実用性を両立させている。    宮澤佳久

次に、ラフロードばかりではなく、屈強なスタイルで街も走りたいというニーズから、堅牢さに快適性も加えた、現在のSUVで中心的存在なクロスオーバーSUV。これを「SUV 2.0」と呼ぶ。

そして、社会と関わりながら自分を表現するためにSUVに乗りたいというニーズから、美しく意のままに操れるSUVが求められる。社会に溶け込む、これからのSUV。これを「SUV 3.0」と呼ぶ。

つまり、ZR-Vが目指しているのは、この未来のSUV像ともいえる「SUV 3.0」だ。ターゲットユーザーは、子育て世代が中心となるだろう。
それでも、子育てのために好きなクルマを諦めたくはない、子育てを頑張っていても、クルマに妥協することなく好きなクルマに乗りたい。

そんなユーザーに向けたクルマが、「SUV 3.0」のZR-Vなのだ。

記事に関わった人々

  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。

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