2024年仕様は後輪駆動へ ボルボC40 リチャージへ試乗 67.0kWh 伸ばしたい航続距離

公開 : 2023.01.16 08:25  更新 : 2023.03.13 10:52

空力特性に優れるクーペボディのC40。ボルボらしい強みを備えつつ、航続距離は物足りないと英国編集部は評価します。

2024年モデルからは後輪駆動へ

ボルボC40 リチャージほど、バッテリーEV(BEV)がクルマに与える影響を確かめられるモデルは多くない。2022年にはツインモーター版と並行して、シングルモーター版の生産もベルギーでスタートしたばかり。

C40のツインモーター版は四輪駆動だが、今回試乗した2023年仕様のシングルモーター版では前輪駆動になる。駆動用バッテリーの容量が若干小さくなるぶん、英国価格もお手頃だ。

ボルボC40 リチャージ・プラス(英国仕様)
ボルボC40 リチャージ・プラス(英国仕様)

一方、2023年後半から生産が始まる2024年モデルでは、駆動用モーターがリアアクスル側に搭載され後輪駆動へ変わるという。モーターのトルクが太くなり、エネルギー効率も向上するらしい。

当初は前輪駆動だったモデルが、同じ世代の途中で後輪駆動へシフトする例は珍しい。BEVの時代は、それが比較的容易に可能ということだ。古い概念は通用しないといえる。

そして恐らく、前輪駆動のC40のオーナーが後輪駆動へ乗り換えても、走りでは殆ど気付くことはないだろう。典型的な同ブランドのモデルらしく、運転体験にはドライバーとの一体感がさほど伴わないためだ。

操縦性や動力性能に目立った不満はないものの、強く褒めたくなるほどでもない。もっとも、これは近年の多くのBEVにも共通することではあるが。ボルボとして、従来的な強みはふんだんに備えている。

クーペボディで航続距離は4%プラス

C40 リチャージは、快適で静かで装備が充実している。クーペボディでありながら、実用性も悪くない。適度に小さなサイズのクロスオーバーだから、市街地での取り回しや駐車も難しくはない。

ワゴンボディのXC40に対するオシャレ担当といえ、滑らかなルーフラインが最大の特徴だろう。近年のトレンドでもあり、アウディBMWポルシェのSUVも同様なモデル展開が図られている。

ボルボC40 リチャージ・プラス(英国仕様)
ボルボC40 リチャージ・プラス(英国仕様)

内燃エンジンの場合、車内空間が犠牲になるシルエットへ疑問を抱かなくはない。だが空力特性に優れており、同等スペックのXC40と比較すると、高速道路での航続距離は約4%優れるという。BEVなら、クーペにする理由をある程度は正当化できる。

ただし、寒い冬場に高速道路で試乗した限り、C40のメーターパネルには290km以上の距離が示されることはなかった。少し暖かい日に運転した市街地では、320km程へ伸びていたが。

英国価格で並ぶC40の競合モデルは、より長い航続距離を実現している。高速道路の速度域でも、320km近く走れる例は少なくない。現在のBEVでは特に重視される項目だが、駆動用バッテリーの容量が67.0kWhのボルボは少々不利といえるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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