新型の6速オートマティック・トランスミッションは多芸多才。言葉どおり ’D’ にセットすればスムーズな変速と賢いギア選択をしてくれるし、マニュアル・モードにすればレスポンス良く忠実にドライバーの入力に答えてくれる。

スポーツ・ボタンを押せば変速フィールがわずかにシャープになり、排気音も心なしか大きくなる。やや人工的とも感じる向きもあるかも知れないが筆者はさほど悪い印象は抱かなかった。

その間、高回転を維持しようと躍起になることはなく、あくまで実直に低い回転数に徹するか、あなたの選択に身を委ねますよと言わんばかりのマナーを堅持。従順なシフト・マナーがあってこそ、優れたエンジンを味わうことができるのかと思い知らされた次第だ。

■「買い」か?

プジョー308が好きで、それなりに走りを楽しみたいのであれば、他を選ぶ理由はない。長距離を走るシチュエーションが多い向きならばなおさらだ。

正直に申し上げるとすれば、このクルマには首を傾げたくなるようなエルゴノミクスや、2列めのスペースの欠落、平凡な剰余価値や、高級感の欠如などが見当たるのも事実。

しかしそんな事よりも、大きな野望を抱いたプジョーが心血を注ぎこんで作った新しい308には賞賛に値する点の方が目立つのだ。しなやかな乗り味に、なめらかなハンドリング、伝統的なフランス流デザインを取り入れながらもハンサムに仕上がったルックスを目の前にすれば、クラスをけん引する小型ハッチになり得る素性は十分にある、と誰もが思うに違いない。

(マット・ソーンダース)

プジョー308アルーレ1.2 e-THP ピュアテック130

価格	£20,795(360万円)
最高速度	200km/h
0-100km/h加速	9.8秒
燃費	19.2km/ℓ
CO2排出量	119g/km
乾燥重量	1150kg
エンジン	直列3気筒1199ccターボ
最高出力	130ps/5500rpm
最大トルク	23.9kg-m/1750rpm
ギアボックス	6速オートマティック