中古車のEV人気が急上昇? 混沌たる英国市場、電動車シェア拡大続く 全体では縮小

公開 : 2023.02.10 18:25

英国の中古車市場ではEV(電気自動車)の販売好調が続いており、昨年はPHEVの販売を上回りました。しかし、充電インフラ不足もあり主流は依然としてエンジン車で、中古車トップはフォード・フィエスタでした。

生産終了間近のフィエスタが首位 EVもシェア拡大

英国では2022年、新車販売が前年より64万台以上も少ないという、不本意な1年となった。そんな中、間もなく生産終了を迎えるフォード・フィエスタが中古車販売でトップに立った。

2022年に20億ドルの赤字を計上して資金繰りに奔走しているフォードから「余剰品」とみなされたフィエスタは、この夏生産を終了するが、英国人の間では依然として人気があり、昨年28万8639台の中古車が販売された。フィエスタに最も近いライバルであるオペル/ヴォグゾールコルサは、22万9454台の中古車販売を記録している。

フォードは47年8世代続いたフィエスタの生産を今夏に終了する。
フォードは47年8世代続いたフィエスタの生産を今夏に終了する。

英国の自動車工業会(SMMT)が発表した数字を見ると、国内の中古車市場の混沌とした様子がわかる。2022年の英国の中古車販売は689万777台で、2021年比で8.5%減、パンデミック前の2019年比で13.2%減となったが、一方でEV(電気自動車)は依然として好調で過去最高を更新している。

EVの中古車販売は前年同月比37.5%増の7万1071台となり、市場シェアが2021年の0.7%から1%に増加した。全体の流れに逆行する結果となった。

PHEV(プラグインハイブリッド)は3.6%増の5万5053台で、EVの方が人気が高く、より一般的な選択肢として定着しているようだ。MHEV(マイルドハイブリッド)は8.5%増の15万5055台と、依然として好調を維持している。

しかし、これら電動車が中古車市場全体に占める割合はわずか4.1%(2021年の3.3%から上昇)であった。ディーゼル車とガソリン車の販売はそれぞれ11.8%と7.7%減少したが、依然として主流であることに変わりはなく、合わせて659万4880台が販売されたという。

SMMTは、新車市場が世界的な半導体不足の影響を受けているため、中古車市場に流入する車両が減っていることが全体の落ち込みの原因と分析している。

しかし、12月の販売台数は0.8%増と、2月以来のプラスに転じ、楽観的な見方もできるようになった。わずかな増加ではあるが、SMMTのマイク・ホーズCEOは重要なことだと評価している。

第4四半期(10月1日〜12月31日)は4.3%減少したが、それまでの四半期よりも減少幅が小さかったというニュースもこれを裏付けている。第2四半期は18.8%減、第3四半期は12.2%減であった。

ホーズCEOは次のように述べている。

「市場の見出しはネガティブで、昨年の新車供給の逼迫を反映していますが、電動車の記録的な普及は明るいニュースであり、電動車に対する欲求が高まっていることを示しています」

「今年の新車販売台数は増加すると予想されており、より多くのセカンド・オーナーが最新の低排出ガス車やゼロ・エミッション車を利用できるようになるはずです」

「普及を加速させるためには、ドライバーにポジティブな所有体験を保証することが鍵となります。新車・中古車購入者がこれまで以上にゼロ・エミッション車に乗り換える中で、充電インフラが需要に追いついていかなければなりません」

また、中古車のボディカラーとして最も人気だったのはブラックであり、148万7376台が販売された。次いで、ブルー(112万9625台)、グレー(112万2890台)であった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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