新時代の幕開けを告げるラグジュアリーEV 10選 アッパークラスの電気自動車たち

公開 : 2023.02.26 18:05

6. アウディQ8 eトロン・クワトロ、Q8 eトロン・クワトロ・スポーツバック、SQ8 eトロン・クワトロ

アウディは、ブランドが持つさまざまな資質を抽出し、そのすべてを初の量産EVであるQ8 eトロン・クワトロに与えた。

当初は単に「eトロン」と呼ばれ、Q5とQ7の間に位置づけられていたが、2022年末の改良で外観が一新され、「Q8 eトロン」という新しい車名が与えられた。この改良では、89kWhおよび106kWhの大型バッテリーが追加された。前者は1回の充電で452km、後者は530kmの航続距離を謳うようになった。

6. アウディQ8 eトロン・クワトロ、Q8 eトロン・クワトロ・スポーツバック、SQ8 eトロン・クワトロ
6. アウディQ8 eトロン・クワトロ、Q8 eトロン・クワトロ・スポーツバック、SQ8 eトロン・クワトロ

中身の変更は最小限に抑えられているが、上品で洗練された雰囲気を保ちつつ、静かなクルージング性能とアウディらしい質感の高さも維持している。ドライビング・エクスペリエンスも、高速走行時のレスポンスの良さや筋肉質なフィーリングはもちろん、正確でバランスのとれたハンドリングも印象的だ。エアサスペンションは地形の凹凸を楽々と、静かに吸収していく。

Q8 eトロンは、ライバルに比べるとはドライバーズカーとしての魅力は劣るものの、優れたラグジュアリーカーに仕上がっているのだ。もし物足りなくても、最高出力503psのSQ8 eトロンがある。汎用性の高いリアアクスル駆動ユニット(合計3基のモーターを搭載)により、標準車を超えるハンドリング調整能力を実現したモデルだ。9万ポンド(約1460万円)近くと高価だが、速さ、華麗さ、そして気分次第で走りを楽しめる電動SUVという斬新な要素を考えると、それだけの価値はありそうだ。

7. ジャガーIペイス

大手メーカーが高級車市場でテスラに挑んだ、初めてのラグジュアリーEVであるジャガーIペイスは、卓越したハンドリング・ダイナミクス、一流の内装品質、SUVらしくも魅力的かつ革新的なデザインで、その「意図」を体現している。200psのツインモーターから力強いパフォーマンスを発揮しながら、このクラスの乗り心地とハンドリングの基準を確立しており、肩の凝らないクリーンな設計は高級車ブランドによるEVのあるべき姿に感じられる。

最大100kWの急速充電が可能だが、実走行距離はやや期待外れで、長距離ツアラーとしてのポテンシャルにやや傷がつく。約350kmというのは喜ぶべき数字ではないし、さらにややバグの多い充電ソフトウェアは、他車よりも頻繁にエラーを起こしてしまう。もし、公共の急速充電設備にほとんど頼らず、また日常生活でカタログ値を超える距離を走らないのであれば、真っ先に検討してもいい。運転が楽しいだけでなく、見ているだけでワクワクしてくる、魅力的なクルマだ。とはいえ、Iペイスが少しづつ旧式化しているという事実からは逃れられない。ライバルがアップデートを進める一方で、ジャガーは2018年のデビュー当時とほぼ同じままである。

7. ジャガーIペイス
7. ジャガーIペイス

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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