後の7シリーズへ繋がった? ボルクヴァルトP100 BMW 502(2) 対象的な姿の大型サルーン

公開 : 2025.01.25 17:46

1961年に廃業した、ドイツ5番目の自動車メーカーだったボルクヴァルト BMWやメルセデスへ対峙した直6のP100 同時期に売られていたV8の502シリーズ 対象的な2台を英編集部がご紹介

直線的でモダンなスタイリング

ボルクヴァルトP100の生産数は、約2500台。希少性は高いといえるが、オーナーズクラブの重鎮といえる立場のジョン・ウォリス氏は、そこまでの労力を割かずにレストアを完遂させたそうだ。

CSV 386のナンバーで登録されたこの1台には、筆者は1994年に一度お目にかかっているが、艶のある塗装はその時のままらしい。エンジンはリビルドされ、快調そのもの。ファイアストーン社製のエアスプリングは、新品で入手できたという。

ボルクヴァルトP100(1959〜1961年/欧州仕様)
ボルクヴァルトP100(1959〜1961年/欧州仕様)

1961年当時の英国価格は、2395ポンド。販売代理店のメトカーフ&マンディ社が約20台仕入れた内の1台で、一度ドイツに戻っていたが、最近はグレートブリテン島で過ごしている。

スタイリングは直線的。ショルダーラインが低く、ガラスエリアが広く、ホイールは13インチと小ぶり。BMW 2600Lの横へ並ぶとモダンさが際立つものの、美しいとまではいえないかもしれない。

ドアは大きく開き、車内空間にはゆとりがある。ダッシュボードのデザインはシンプルに整い、スイッチ類には、今では見慣れたピクトグラムが採用される。荷室は広大。目に見える部分の隅々まで、質実的なドイツ車へ期待する仕上がりにある。

想像以上に力強く走らせる101psの直6

フロントシートは大柄で座り心地が良い。コラムシフトのレバーは、若干の引っ掛かりはあるが、慣れれば問題なし。ステアリングホイールは大きく、垂直に近い。低域では重たいが、クラッチペダルは軽めで小回りも効き、重苦しい印象は殆どない。

エンジンは滑らかに回転し、直列6気筒らしい活発なサウンドを放つ。101psの最高出力は高域側で発揮されるが、16.0kg-mの大トルクは2000rpmから得られ扱いやすい。全長4712mm、重さ1298kgのボディを、想像以上に力強く走らせる。

ボルクヴァルトP100(1959〜1961年/欧州仕様)
ボルクヴァルトP100(1959〜1961年/欧州仕様)

トップのギア比は、1000rpm当たり約29km/h。3速で引っ張ると136km/hへ軽々と届きそうだが、エンジンがリビルトされたばかりで、100km/h以下に自制しておいた。

乗り心地は、安定していて落ち着いている。高速域での穏やかさでは、シトロエンDSと遜色ないかもしれない。

エアスプリングの効果が表れるのはカーブ。ボディロールを巧みに抑え、スイングアクスルで支えられるリアタイヤのマナーも鎮めている。穏やかなアンダーステアが、ドライバーへ一定の信頼感を与える。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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