「Nissan Futures」 EVがエコサイクルの一員であるために 「V2X」とバッテリーの可能性

公開 : 2023.02.23 05:45

「循環」 バッテリーの2次利用

今回紹介された2つ目のテーマがバッテリーの2次利用だった。

EVは走行時に排気ガスを出さないクリーンなモビリティとして知られる。

EVの循環とは、「要はバッテリーの2次利用」と筆者。
EVの循環とは、「要はバッテリーの2次利用」と筆者。

だがバッテリーを生産する段階では比較的大きなCO2を発生させているのである。

バッテリーを再生、2次利用することができれば、新たなバッテリー生産によって排出されるCO2を削減することができるのである。

日本が誇る技術ともいわれるバッテリーの2次利用。

ここでは日産リーフのバッテリーを回収し、再利用を促進するスペシャリストであるフォーアールエナジーの堀江裕CEOがその最新の事情を解説してくれた。

堀江氏によれば回収したリーフのバッテリーはまだ十分に使えるので、モジュールの構成を変更し他の分野(ゴルフカート、EVバス、大型蓄電施設等)で再利用できるという。

また2次利用を終えたバッテリーに関しては貴重な資源であるレアメタルなどを、新たなバッテリー製造のため回収している。

現在は初期(2010年頃)に販売されたリーフのバッテリーの回収が始まった段階。

ディーラーとのつながりが切れてしまっている個体もあるので、今後はどれだけ多くのリーフからバッテリーを回収できるかが鍵になる。

またレアメタルの回収技術もまだ改善の余地が残されている分野だという。

使用済みバッテリーが適切にリユースされるエコサイクルが出来上がってこそ、EVの生産や利用がよりゼロエミッションなものに近づき、地球環境に貢献できることになる。

だが先のV2Xもバッテリーの2次利用も含め、いち自動車メーカーだけでは到底実現することが難しい大規模なプロジェクトに違いない。

クルマを作って売るだけでは未来はないという強い思いが、日本のEVシーンを牽引している日産を突き動かしているのだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

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