包みきれない2710kg BMW XM  総合653psのPHEV Mなら更に高みを目指せる 前編

公開 : 2023.04.01 08:25

BMW M社の独自モデルとして2番目に当たるXM。最高のXとMが体現されたというSUVを、英国編集部が評価しました。

システム総合653psのPHEV SUV

2023年には、フェラーリBMW Mという、2つの名門ブランドからSUVがリリースされる。賛否両論入り乱れるとは思うが、AUTOCARでは既にフェラーリ・プロサングエへ試乗し、素晴らしい仕上がりにあることを確認している。

フロントに搭載される6.5L V型12気筒エンジンが、素晴らしい役目を果たしていた。おのずと、4.4L V型8気筒を搭載するBMW XMにも期待が高まる。

BMW XM(北米仕様)
BMW XM(北米仕様)

遡ること1978年、同社はミドシップ・スーパーカーのBMW M1を生み出した。XMは、それ以来となるブランドの独自モデルに相当する。CEOのフランク・ヴァン・ミール氏は、最高の「X」と「M」を提供できたと自信を隠さない。

XMは、Mモデルとして初のプラグイン・ハイブリッド(PHEV)であることも注目だろう。内燃エンジンは、S68型と呼ばれるV型8気筒ガソリン・ツインターボ。150psを発揮する駆動用モーターは、ZF社製の8速ATに内蔵される。

システム総合での最高出力は653ps、最大トルクは81.4kg-mを叶えている。ちなみにこのパワートレインは、次期M5にも搭載される予定にある。恐らく、更にパワーアップされたカタチで。

ただしXMにも、748psを発揮する「ラベルレッド」という最強仕様が控えている。モンスター級のアストン マーティンDBX707を上回るパワフルさだ。

駆動用バッテリーの容量は29.5kWhと、このクラスとしては小さめ。電気だけで走れる距離は88kmがうたわれる。英国価格は14万8060ポンド(約2383万円)からに設定された。

インパクトが強いスタイリング

印象的な数字が並ぶXMだが、見た目にもかなりのインパクトがある。写真でも相当だと思うが、実物を目の当たりにすると存在感が半端ない。息を呑むスタイリングとはこのことで、BMW Mの狙いの1つは果たされたといえるだろう。

直線的な面構成で大柄に見えるが、ボディサイズはBMW X5とX7の中間に相当する。全長5110mm、全幅2005mmと、大きすぎることはない。ドアとボディパネルの隙間は極限まで狭められており、シャープな塊感を強調している。

BMW XM(北米仕様)
BMW XM(北米仕様)

四角い金属をナイフで削り落としたような面構成は、マッシブでエレガントな従来のMモデルらしさを感じさせるものではない。プロポーションも若干ぎこちないが、オシは間違いなく強烈だ。

エッジーなボディを、ゴールドのトリムが彩る。縁取りされた巨大なキドニーグリルの輪郭は、LEDライトで照らし出される。リアには、6角形の極太マフラーが両サイドに2本づつ、縦に並んでいる。

BMWは、XMの大半が北米と中国市場で売れると考えている。確かにフルサイズ・ピックアップトラックのフォードF-450や、大型SUVのホンチーE-HS9と交差点で並んだら、少し控えめに映るかもしれない。

やや保守的な欧州市場では、BMW X5 Mのように支持を集めるとは考えにくい。読者のご感想はいかがだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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