野獣的な存在感 BMW XM(1) レーベル・レッドなら総合748ps 実用性はX5 Mが上

公開 : 2025.05.03 20:25

M1以来となるM部門の独自モデル、XM プラグインHVで653ps 野獣のようにイカツイ容姿 内装は上級でも実用性はX5 Mが上 軽快で正確なステアリング 乗り心地は硬い UK編集部が試乗

レーベル・レッドの最強仕様では総合748ps

知る人ぞ知るミドシップのスーパーカー、1978年のM1以来となるM部門の独自モデルとなったのが、今回試乗したBMW XM。M モータースポーツ社を率いるフランク・ファン・ミールCEOによれば、「X」と「M」の最高を融合したモデルなのだという。

登場は2023年で、正真正銘のMとしては、初のプラグイン・ハイブリッドでもある。フロア下に29.5kWhの駆動用バッテリーを積み、8速ATに150psのモーターが載り、システム総合で653psと81.4kg-mを発揮する。電気だけで、88km走れると主張される。

BMW XM(北米仕様)
BMW XM(北米仕様)

ボンネット内に収まっているのは、S68型4.4L V8ツインターボエンジン。レーベル・レッドという最強仕様を指定すれば、アストン マーティンDBX707を凌駕する、システム総合748psまで引き上げることもできる。

野獣のような存在感 大きさはX7とX5の間

スタイリングは直線基調で、写真からでも強い存在感が伝わると思う。しかし、現物はそれ以上。野獣のようにイカツイ。これに並ぶ極端な見た目の例は、テスラ・サイバートラックくらいかもしれない。Mの狙い通り、衝撃的な姿だ。

サイズは、全長が5110mmで、全幅が2005mmと、X7とX5の間に収まる。ドアなどボディパネルの隙間はキッチリ揃い、製造品質の高さが伝わってくる。

BMW XM(北米仕様)
BMW XM(北米仕様)

多面体のように面取りされたデザインには、従来のようなエレガントさは宿らない。ゴールドのトリムが各所を飾り、リアのマフラーは縦に2段。巨大なキドニーグリルは、夜間でも見逃さないよう、LEDでフレームが灯される。

想定された主な市場は、中国と北米。広い交差点でフォードF-450と並んでも、不足なく張り合えるかもしれない。X5 Mのように、成功を掴むことは難しいようにも思うが。

上級な雰囲気の内装 実用性ではX5 Mが上

インテリアは、ボディより控え目ながら、基本的なデザインテイストは同じ。試乗時は、リアシートにレザー張りの高級バッグが置いてあり、先に試したブランド雑誌の担当者の忘れ物かと勘違いした。実際は、充電用ケーブルを入れる純正のケースだった。

プラスティック製のトリム類も金属でコーティングされ、くまなく張り巡らされたレザーやアルカンターラと相まって、上級な雰囲気が醸し出されている。ステッチ1つ1つまで、狂いがない。BMWが、ハイエンドな内装を理解していることは間違いない。

BMW XM(北米仕様)
BMW XM(北米仕様)

シートは包み込まれるように快適。後席側は、リアウインドウが狭くスモーク加工され、隠れ家バー的な印象も漂う。BMWは、これをMラウンジと呼ぶ。

マットカーボンファイバー仕上げのダッシュボード上に、iドライブが稼働するワイドなモニターパネルが載る。エアコンの操作パネルは、少々操作しにくい。ドライブモードによって、天井の間接照明の色が変化する。

実用性は、サルーンのM5以上。だが、同サイズのSUVを超えることはない。荷室の床面は高く、容量は527Lで、ポルシェカイエンランボルギーニウルスより狭い。BMW X5 Mの方が沢山の荷物を積め、後方視界も優れている。

この続きは、BMW XM(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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