世界に衝撃と驚きを与えたクルマ 20選 意外すぎたデビュー、革新的な市販車も

公開 : 2023.04.29 18:05

登場時に世界に衝撃と驚きを与えたクルマを取り上げます。「なぜこんなものを」と冷笑されるクルマもあれば、デザインや先進性で感動を与えてくれるクルマも。時代による価値観の変化も見えてきます。

こんなクルマが出るなんて……

最近のBMWのデザインには、驚いてしまうことが少なくない。グリルはますます大きくなり、エクステリアもますます派手になっている。しかし、新型BMW XMレーベル・レッド(写真)を初めて見たときの衝撃に比べれば、些細なものだろう。

BMW XMは、車体が非常に大きく、かつ非常に高価なハイブリッドのMモデルである。標準車でも主張の激しいクルマだが、新仕様のレーベル・レッドはさらに過激で、攻撃性を醸し出すレッドのアクセントを随所にあしらっている。

いろいろな意味で世界を驚かせたクルマを取り上げる。
いろいろな意味で世界を驚かせたクルマを取り上げる。

気に入るかどうかは別として、このようにわたし達に衝撃を与え、驚かせてきたクルマは決して少なくない。そして、時には感動を与えてくれるものもある。今回は、驚きを持って世間に迎えられたクルマを20台紹介したい。

ランボルギーニLM002(1986年)

2シーターのスーパーカーで知られる名門ランボルギーニが、その枠を飛び出し、SUVを解き放った。今でこそウルスはベストセラーになっているが、1986年に発表されたLM002は、にわかに信じがたいモデルであった。

LM002の開発プロジェクトは、ランボルギーニが米国陸軍向けの軍用車製造を請け負おうとしたことから始まった。はじめに「チーター」というリアエンジンのプロトタイプが作られたが、米軍の印象には残らないものだった。結果的に、AMゼネラルのハンビーが受注することになる。

ランボルギーニLM002(1986年)
ランボルギーニLM002(1986年)

しかし、ランボルギーニはチーターにかけた時間やお金を無駄にするわけにはいかず、ここで得た知識を活かして、初のSUVであるLM002を開発したのだ。

GMCサイクロン(1991年)

ローライダーのようなルックスを持つGMCサイクロンは、驚くほどのパワーを秘めたメーカー純正ホットロッドである。ソノマというピックアップトラックをベースに、専用開発された4.3L V6ターボエンジンを搭載。4速ATとの組み合わせにより280psを発揮する。

Car & Driver誌は、ゼネラルモーターズのトラック製造部門がフェラーリキラーを手に入れたと考え、その仮説を検証するためにドラッグレースに赴いた。リアバイアスの全輪駆動システムを採用したサイクロンは、1/4マイルレースで348 TSを破り名を馳せた。

GMCサイクロン(1991年)
GMCサイクロン(1991年)

ゼネラルモーターズEV1(1996年)

EV1のようなクルマを発売するのは、大手ゼネラルモーターズではなく、スタートアップ企業だと思われるだろう。その先進性は、空飛ぶ円盤のようなデザインにとどまらない。最高出力137psの電気モーターと16.5kWhのバッテリーを搭載し、アルミニウムとプラスチックにより、重量は約1400kgに抑えられている。

ゼネラルモーターズはEV1を米国の一部の州でリース販売した。しかし、このような先進的な電動車の生産で採算をとることは不可能であるとして、2003年にリースが中止された。顧客は抗議しながらも、しぶしぶクルマを返却した。全1147台のうちほとんどがリサイクルされたため、ドラマチックな陰謀説も流布され、ドキュメンタリー映画に取り上げられるほど話題になった。ゼネラルモーターズのリチャード・ワゴナーCEOは、後に「EV1プロジェクトの中止は、自分の仕事上の最大の後悔だ」と語っている。

ゼネラルモーターズEV1(1996年)
ゼネラルモーターズEV1(1996年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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