覚悟と注意が不可欠 マセラティ 3200GT 英国版中古車ガイド 当時のベスト・トライデント

公開 : 2023.04.17 08:25

直近の20年間で最高のマセラティだった

3200GTの生産期間は短く、4年後の2002年に4200GTへバトンタッチした。全体のスタイリングに大きな変化はなかったが、テールライトが一般的な扇型へ変更されている。

AUTOCARでは3200GTを高く評価していた。当時は、直近の20年間で最高のマセラティだとすら称えていた。しかし、これから購入をお考えになる場合は、それなりの覚悟と注意が必要になる。整備は安く済まないし、燃費は5km/L程度に留まる。

マセラティ 3200GT(ティーポ338/1998〜2002年/英国仕様)
マセラティ 3200GT(ティーポ338/1998〜2002年/英国仕様)

マセラティ・ファンなら、モデル後期に限定生産されたアセットコルサ仕様が望ましい。15mm車高が落ちるサスペンションと、専用のホイールが組まれていた。ステアリングレシオもクイックになり、赤いブレーキ・キャリパーが違いを控えめに主張する。

新車時代のAUTOCARの評価は

これほど上質なインテリアを備えるクルマは、他に例がない。柔らかなコノリー・レザーが惜しみなく用いられ、トレードマークのアナログ時計も上品に見える。車内空間も、ジャガーXK8より広い。

0-97km/h加速時間は6.2秒と驚くほどではないものの、実際はそれ以上に速く感じられる。アクセルペダルを軽く傾けるだけで、勢いよくスピードを高めていく。(2000年12月13日)

マセラティ 3200GT(ティーポ338/1998〜2002年/英国仕様)
マセラティ 3200GT(ティーポ338/1998〜2002年/英国仕様)

オーナーの意見を聞いてみる

ケビン・デイク氏

「2002年に4.2L V8エンジンを搭載したスパイダーを購入し、15年間所有していました。田舎に住んでいたこともあり常に汚れていて、手入れは充分とはいえませんでしたが、よく走るクルマでしたよ」

マセラティ 3200GT(ティーポ338/1998〜2002年/英国仕様)
マセラティ 3200GT(ティーポ338/1998〜2002年/英国仕様)

「必要に応じて整備に出して、走行距離はできるだけ伸ばさないようにしていました。それでも、部品代や整備費用は高かったですね」

「エンジン・サウンドやパワー、操縦性を気に入っていました。現在は友人が所有していますが、関係が悪くなるほどの故障はありません。調子良く走っているようです」

知っておくべきこと

クランクシャフトやクラッチ、スロットル・ポジションセンサーなどの重要な部品は、既に生産が終了している。入手困難な場合もある。

過去の整備記録は非常に重要。すべて揃っていなくても、領収書も含めて、可能な限りこれまでの履歴が確かめられる車両を選びたい。

イタルデザインの手によってホイールベースが220mm縮められた、オープンボディのスパイダーが2001年に追加されている。電動油圧式ソフトトップを備えた2シーターだ。

このスパイダーには、395psを発揮するフェラーリ由来の4.2L V8エンジンが搭載されている。後継モデルの、4200GTと同様に。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ピアソン

    Mark Pearson

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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