垢抜けボディはケン・オクヤマ アイウェイズU6へ試乗 プロドライブも関与

公開 : 2023.04.29 08:25

日本人デザイナーと英国のプロドライブが開発に関わった、中国ブランドのBEV。見た目も内容も悪くないと英国編集部は評価します。

ケン・オクヤマによるノッチバック・ボディ

中国南西部の江西(こうせい)省に拠点を置く新興自動車メーカー、アイウェイズは、国内より先に海外でブランドの地位を確立したいと考えているようだ。創業は6年前とまだ日は浅いものの、既に15の市場へ進出を果たしている。

新しいバッテリーEV(BEV)となるU6の発売で、同社は更に勢いを増したい構え。いよいよ英国にも上陸を果たす。

アイウェイズU6(欧州仕様)
アイウェイズU6(欧州仕様)

ノッチバックのボディは垢抜けた印象を与えるが、スタイリングを手掛けたのは日本人デザイナーの奥山清行(ケン・オクヤマ)氏。ピニンファリーナ社に在籍し、フェラーリ・エンツォフェラーリを手掛けたことで有名だ。空気抵抗を示すCd値は0.25と小さい。

見た目の特徴といえるのが、自社がシャークノーズと表現するフロントマスク。シャープな中央部分を囲むように、薄いLEDデイライトと、縦に長いLEDヘッドライトが並ぶ。彫りの深いフロントバンパーの左右には、小さなフィンが付いている。

U6の全長は4800mmで、全幅は1880mm、全高は1640mmある。フォルクスワーゲンID.4より全体的にひと回り大きい。

インテリアに用いられる素材は上質。硬質なプラスティック製部品も点在するが、殆どは目線より下に用いられ気になりにくい。アイウェイズの既存の中型SUV、U5よりサイズが上なぶん、上級志向に仕立てられている。定員は5名となる。

基礎構造も駆動用モーターも自社開発

新しいU6がベースとするのは、自社が開発したモア・アダプタブル・ストラクチャ構造。スチールとアルミを適材適所で採用したもので、既存のU5にも採用されている。

駆動用バッテリーは63.3kWhのリチウムイオン。中国の大手、CATL社製のユニットで、定石通りフラットなフロア部分に敷き詰められている。巧妙な設計の成果として、車重は1790kgと、このクラスのBEVとしては驚くほど軽い。

アイウェイズU6(欧州仕様)
アイウェイズU6(欧州仕様)

駆動用モーターは、フロントアクスル側の1基のみ。これも自社開発されており、最高出力218ps、最大トルク32.0kg-mを発揮する。シングルスピードのオートマティックを介して、前輪が駆動される。

車内に物理的なスタートボタンはない。スマートキーを身につけてシートに座り、ブレーキペダルを1度踏むとシステムがオンになる。

アクセルペダルを傾けていくと、活発な加速が気持ちいい。ドライバーを満足させる、内燃エンジンを積んだホットハッチ並みの勢いが得られる。0-100km/h加速は、6.9秒でこなすという。

パワーの発生は滑らかで線形的。アクセルペダルの踏み込みに対する反応は直感的で、既存のU5から明らかに制御が進歩している。回生ブレーキの効きには複数の設定があり、ブレーキペダルを踏まずに停止もできる、ワンペダル・ドライブにも対応する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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