小型ハイパフォーマンスモデル拡充へ プジョー、複数車種に『GTi』展開 運転の楽しさをアピール
公開 : 2025.12.02 17:05
プジョーは『e-208』に続いて、高性能の『GTi』シリーズをさらに拡大する計画です。同社CEOはホットハッチに注力する姿勢を示しましたが、今後のGTiモデルはすべて電動化される見込みです。
復活のGTi、ラインナップ拡大
プジョーは、「優れたドライビング感覚」をブランドの中核に据え、高性能の『GTi』バージョンを『e-208』以外のモデルにも拡充する計画だ。
6月に発表された新型『e-208 GTi』は、最高出力280ps、0-100km/h加速5.7秒という性能を実現し、機械式リミテッドスリップデフも装備している。小規模ながらも成長を続ける電動ホットハッチ市場に投入され、アルピーヌA290やフォルクスワーゲンIDポロGTIと競合することになる。

GTiの名を冠する高性能モデルは、2017年に登場した先代の『308 GTi』以来だ。同社のアラン・ファヴェCEOはAUTOCARに対し、GTiモデルをさらに展開していく計画だと語った。
「GTiのバッジを今後も存続させるつもりがなければ、このモデル(e-208 GTi)は開発しなかったでしょう。1車種に留まらないGTiの未来を築くために、しっかりと準備していきます」
さらにファヴェCEOは、GTiの復活理由について「プジョーが卓越したドライビング感覚を体現するブランドであることを明確に示すため」だと述べた。
今後の展開については明言を避けたが、「重要なのは、GTIバッジが付くクルマは唯一無二で最高峰の体験を提供するということです。だからこそ、その段階に至るにはあと数か月はかかるかもしれません」とした。
2028年頃に登場予定の新型『308』は、GTIバージョンの有力候補と見られる。近年の308には、高性能モデルとしてフォルクスワーゲン・ゴルフGTIなどのライバル車に対抗し得るだけの実績がある。
しかし、ガソリンエンジン搭載モデルにGTiのバッジが使われることはないという。本国フランスにおける排出ガス規制が開発コストに大きな負担をかけるためだ。
「フランスはプジョーにとって大きな市場ですが、残念ながら規制が非常に厳しく、CO2排出量に対する罰金が最大7万ユーロ(約1260万円)にも上ります。そうなると、購入することもできません」
「つまり、誰もが憧れる素晴らしいクルマになったとしても、所有すること自体が不可能になるのです。そうなれば完全に実現不可能です」
フランスのホットハッチ対決
プジョーは6月のル・マン24時間レースでe-208 GTiを発表し、来年の同レースで受注を開始し、2026年末までに納車を開始する予定だ。
つまり、発表から納車まで約1年半かかることになり、その直後の2027年には次世代モデルの208が登場してくる。この長いリードタイムについてファヴェ氏は、電動版GTiに対するプジョーの野心の高さを証明していると語った。

「これはクルマを完成させるのに必要な時間です。プジョーは本当に優れたクルマ、カテゴリーのトップクラスで真に信頼できるホットハッチにしたいと考えています。それにはこれだけの時間が必要なのです」
ファヴェ氏は、開発陣にとってアルピーヌA290が主要なベンチマークになっていることを認めつつ、e-208 GTiは「少なくともわたし達が目指すところでは、同コンセプトの同胞よりも確実に優れたものになるでしょう」と自信を示した。
「真面目な話、目標の1つは当然このクルマを上回ることであり、それは可能だと考えています」
こうした動きは、プジョーとルノーによる歴史的なホットハッチ競争を想起させる。初代205 GTiはルノー5 GTターボの最大のライバルとなり、後の206 GTiとクリオ172でも両社は真っ向から対峙した。

















