1970年代の名車ロータス『エスプリ』が現代に復活 ツインターボV8で400ps 50台限定の最新レストモッド

公開 : 2025.12.08 11:45

英国の新興企業アンコールが、ロータス・エスプリのレストモッドを発表しました。カーボンファイバー製ボディと新開発のドライブトレインを採用しつつ、オリジナルのデザインとアナログな運転感覚を受け継いでいます。

S4 V8をベースにS1を再現

英国の新興企業アンコール(Encor)が、ロータススポーツカー『エスプリ』のレストモッドモデルを発表した。オリジナルの販売終了から約40年を経て、カーボンファイバー製ボディと新型V8パワートレインによって生まれ変わった。

イングランド東部チェルムスフォードに拠点を置くアンコール社は、ロータス出身のデザイナーなど自動車業界で経験豊富な人材を集めて設立された。今回発表された『シリーズ1(Series 1)』は同社初の製品で、50台限定で約43万ポンド(約8900万円)とされている。

アンコール社のレストモッド『シリーズ1』
アンコール社のレストモッド『シリーズ1』    アンコール

チーフエンジニアのウィル・アイブス氏によると、1970年代に人気を博したエスプリS1のアナログな運転体験を「洗練」させ、現代技術と組み合わせて実用性を高めることが目標だったという。「ほぼすべての面で改良されている」とのことだ。

アイブス氏は「オリジナルを尊重しつつも、それに縛られることは避けたかった」とし、「このクルマを愛している一方で、改良の余地は大いにあった」と認めている。

新型シリーズ1はエスプリS1を再解釈したものだが、実際に車両のベースとなっているのは1994年の最終モデルであるS4 V8だ。その理由は、より先進的で強固な構造のシャシーを採用していたためだ。

それでも、ロータス・エミーラのエクステリアデザインに携わったチーフデザイナー、ダン・デュラント氏は、可能な限りオリジナルの精神を忠実に守る「責任」があると述べた。

アンコール社とロータスの間に協業関係はないが、共同創業者兼商業責任者のサイモン・レーン氏は「ロータスがこのシリーズ1を、自分たちの製品を補完するものとして捉えてくれることを願います」と述べた。

トランスミッションはほぼ新設計

エスプリS1との最大の違いはパワートレインだ。アンコール社によれば、オリジナルの907型2.0L直列4気筒ガソリンエンジンは、現代に求められる特性やエモーションに欠けているという。

そこで、エスプリS4に搭載された918型3.5Lツインターボ・フラットプレーンV8エンジンを採用し、「本来あるべき」パワーを目指した。

アンコール社のレストモッド『シリーズ1』
アンコール社のレストモッド『シリーズ1』    アンコール

このエンジンのピストン、ターボチャージャー、インジェクターは新設計だ。最高出力は50ps向上して400ps/6200rpm、最大トルクは8kg-m向上して48.4kg-m/5000rpmとなった。オリジナルのエスプリS1と比べると、240psと29kg-mの向上となる。

車両重量は1200kgで、1トンあたり333psのパワーウェイトレシオを実現した。

また、V8エンジンには最新の電子スロットルボディコントロールとECUを組み合わせている。アイブス氏は、これにより「さらに正確な制御と、最も重要なドライバビリティが大幅に向上しました」と述べている。

5速マニュアル・トランスミッションも改良された。アイブス氏は「このスペースに他のユニットを組み込むことはほぼ不可能で、オリジナル車における限界と考えられてきました」と述べており、「古いケースから新しいトランスミッションを効果的に作り直す」必要があったという。

結果、トランスミッション内部部品のうち「ごく一部」のみを残し、実質的に新ユニットを構築することになった。さらにドライブトレインの強度向上のため、リミテッドスリップデフを追加した。

「この弱点を解消したことで、エンジン出力を若干引き上げられるようになりました。旧型トランスミッションによる制約がなくなったのです」

この改良により、アンコール・シリーズ1は0-100km/h加速4.0秒と、オリジナル車のほぼ半分のタイムを実現した。最高速度は約280km/hに達する。

V8エンジンではなく電動パワートレインを搭載する計画はあったかと記者に問われると、アイブス氏は「検討は行った」ものの、「純粋さを追求している」ため「わたし達が作りたかったアナログ体験を実現できなかったでしょう」と答えた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    役職:ニュース編集者
    ニュース編集者としての主な業務は、AUTOCARのニュースの方向性を決定すること、業界トップへのインタビュー、新車発表会の取材、独占情報の発掘など。人と話したり質問したりするのが大好きで、それが大きなニュースにつながることも多い。これまで運転した中で最高のクルマは、アルピーヌA110。軽快な動きと4気筒とは思えないサウンドが素晴らしい。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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