トヨタ「新型プリウス」の車載リアカメラ 3つの注目点 パナソニックの最新技術が後方を見つめる

公開 : 2023.05.22 14:11

スタイリッシュな新型プリウス。安全運転をサポートするのが最新のリアカメラ。パナソニック オートモーティブ製が選ばれたのですが、技術面の注目点を探りましょう。

カッコいいプリウスに、最新の安全性能

4月の新車販売ランキングで、登録車の4位に入ったのが新型トヨタ・プリウス。

街中で走っているのを目にする機会も増えてきたが、その後ろ姿を見たら注目していただきたい技術がある。

新型トヨタ・プリウスの車載リアカメラは、パナソニック オートモーティブ製だ。
新型トヨタ・プリウスの車載リアカメラは、パナソニック オートモーティブ製だ。

「PRIUS」のロゴの少し上に、ひっそりとリアカメラが設置されている。

これは、カーナビ「ストラーダ」などを販売しているパナソニック オートモーティブ製のカメラで、歩行者検知機能が付いているタイプだ。

運転席から死角となりやすい後方の映像を、ドライバーの前に陣取るディスプレイに投影し、クルマの後ろにある“背丈の低いもの”などをいち早く発見できる。

そして、そのカメラに内蔵された検知機能が、歩行者の歩行の状況を検知して、ドライバーにブザーで注意喚起もする。

歩行者と衝突する可能性がある場合は、検知結果をブレーキ制御にフィードバックし、クルマを自動停止させることもできるのだ。

実は、この検知機能には3つのトピックがある。

1つ目は、熱対策。検知機能を追加することで、カメラ内のCPU負担は増大した。発熱量は、従来比の約3倍と言われている。

その排熱処理のためにカメラサイズが大きくするのでは、せっかくのプリウスの美しさを損なってしまうだろう。

そこで消費電力低減・放熱構造・熱伝導部品の工夫などによって、従来車載リアカメラ並みの大きさを維持したのだ。

ヒトだけを見つける どんな仕組み?

2つ目は、ヒトの検知。バック時の接触事故を抑制するためには、様々なものが映り込む背景のなかから“歩行者の輪郭”を検出する必要がある。

この検知には、画質の最適化・形状検知・移動量検知としった複数のアルゴリズムを併用することになる。

PRIUSのロゴは、アルファベットの間隔を広めに取っている。「I」の上にカメラが潜んでいる。
PRIUSのロゴは、アルファベットの間隔を広めに取っている。「I」の上にカメラが潜んでいる。

また、歩行者が誰もいないのに、「歩行者がいる!」と判断を誤りブレーキ制御をしないよう、アルゴリズム間の調整処理によって誤検知の抑制も行っているというから優秀だ。

さらに、歩行者を検知する動作を阻害する“カメラレンズ面への汚れ”を検出し、レンズ清掃を促す機能も有している。

3つ目は、高精細・高画質な映像をディスプレイに表示しながらも、滞りなく検知性能を最大限引き出すための処理の工夫。

本製品では、信号処理LSIの映像処理ブロックを「ビュー(ディスプレイ表示用)」と「検知(歩行者検知用)」の2経路に分離したのだ。

これらの画質調整機能の実現には、同社独自の映像処理エンジンが使われている。具体的には、人物検知に適したコントラスト補正と、色再現性などの高視認性技術が活用されている。

1996年にカーメーカーに純正採用されて以来、多くの経験と技術力を有しているパナソニック オートモーティブの車載カメラシステム。

同社は「今後も普及が期待される車載カメラの領域において、車載リアカメラで培った検知技術を含む統合監視システムをカーメーカーへご提案することで、安全・安心で快適なドライビング環境の実現に貢献してまいります」としている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

関連テーマ

おすすめ記事