「NGKスパークプラグ」だけじゃない 100年に1度の変革期に、日本特殊陶業(ニテラ)が進む道

公開 : 2023.05.25 20:48  更新 : 2023.05.25 23:10

プラグと言えばNGK。この春、日本特殊陶業の英文商号が「Niterra」に変わりました。ニテラと読みます。どんな思いが込められているのでしょう?

英文商号が「Niterra」に変わった!

執筆:Wataru Shimizudani(清水谷 渉)

「日本特殊陶業(にっぽんとくしゅとうぎょう)」、業界では通称「日特(にっとく)」と呼ばれている企業の名を聞いても、何の会社か思い浮かばない人は、けっこう多いかもしれない。

だが、「NGK」の名はクルマ好きならほとんどの人が知っているはずだ。そう、スパークプラグでおなじみのメーカーだ。

この春、日本特殊陶業株式会社の英文商号が「Niterra Co., Ltd.」になった。下は、クルマ好きにはお馴染みのNGK(スパークプラグ)と、NTK(テクニカルセラミックス)のブランドロゴ。
この春、日本特殊陶業株式会社の英文商号が「Niterra Co., Ltd.」になった。下は、クルマ好きにはお馴染みのNGK(スパークプラグ)と、NTK(テクニカルセラミックス)のブランドロゴ。    AUTOCAR JAPAN

だが、日本特殊陶業は2023年4月1日から、英文商号をそれまでの「NGK SPARK PLUG CO.,LTD」から、「Niterra CO.,LTD」に変更した。これはつまり、事業内容が大きく変革していることの表れといえるだろう。

同社は創業以来、スパークプラグをはじめとする内燃機関関連を中心に、事業を拡大してきた。

一方で、2020年に策定した「2030 長期経営計画 日特BX」で示しているのだが、今後は、環境/エネルギー、モビリティ、医療、情報通信の4つのドメインにおいて展開を進め、事業ポートフォリオ転換を実現することを目指していくという。

それに伴い、スパークプラグのブランドを使用した英文の商号を変更し、今後の事業展開に備えていくということだ。

ちなみに、「Niterra」は「ニテラ」と読み、ラテン語で「輝く」の意味を持つ「niteo」と、「地球」を表す「terra」を組み合わせた造語。持続可能な社会への貢献はもちろんのこと、“地球環境全体を輝かせる”企業となる、という同社グループの想いや姿勢を表している。

EV時代へ プラグ需要はどうなる?

さて、自動車関連事業では世界的な景気低迷の影響を受けつつも、半導体不足の解消に伴う販売増加やセラミック事業の規模拡大により、2023年3月通期で日本特殊陶業では前年同期比で増収となった。

プラグはもちろん、センサーやセラミックなどの事業も順調に推移している。

人とくるまのテクノロジー展2023(パシフィコ横浜)の日本特殊陶業ブース。「内燃機関」「安心安全」「コネクテッド」「次世代」の4分野の取り組みを展示。安心安全で扱う「アイアクセル」の体験を、隣の特設ブースで実施していた。
人とくるまのテクノロジー展2023(パシフィコ横浜)の日本特殊陶業ブース。「内燃機関」「安心安全」「コネクテッド」「次世代」の4分野の取り組みを展示。安心安全で扱う「アイアクセル」の体験を、隣の特設ブースで実施していた。    AUTOCAR JAPAN

販売数量で見ても、EVを含む自動車の生産台数は前年比で8%ほど増加しているのに対し、新車組み付け用プラグや排ガスセンサーは一部の市場を除いて市場成長波の増加を達成している。この傾向は、今後も続きそうだ。

また、ヨーロッパではEV化が一定の加速感となり、ICE(内燃機関)搭載車のピークアウトは2025年ごろと想定されている。一方、中国では政策的なEV化の進行を主要因にICE搭載車のピークは過ぎたと思われているが、ロックダウンや半導体不足からの回復により、2024年3月期においては前年比での増加を計画している。

また、補修用プラグにおいても、自動車保有台数の将来見通しは中国も含めて大きな変更はないと思われ、まだまだ成長市場であると思われる。

つまり、世界的にEV化は進んでいっても、まだまだICE用のプラグの販売は新車用・補修用を含めて漸増していくということだ。

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    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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