トヨタ・ノアG &トヨタ・ヴォクシーハイブリッドV

公開 : 2014.01.26 17:57  更新 : 2021.01.28 17:23

今回の試乗は2.0ℓのエンジン車がメインだった。先代はロール剛性高めの水平基調の身のこなしだったが、新型のフットワークの印象は柔らかめ……というか自然になった。乗り心地はクラスでもっとも優秀っぽい。大径17インチを履くエアロ系グレードも、先代はハッキリ引き締めスポーツテイストを打ち出していたが、エアロ系があくまでカッコで買われている現実に配慮して、今回から16インチと同系統の味つけにしたといい、タイヤサイズによる乗り心地の悪化はとくに感じられない。全体にロール感が明確になったものの、接地感が濃いめになったのはいい兆候。まあ、操舵リニアリティはセレナ、全体にスポーツ感覚が濃いのはステップワゴン……と、あえて差異を指摘することもできるが、いってみれば大同小異。居住性に利便性、細かい使い勝手などの総合商品力では、やはり家電に似て、なんだかんだいっても“最新が最良”=ノアヴォクが1歩リードの感が強い。

ただ、新型ノアヴォクは、そういう細かい優劣を超える一発逆転のキラーアイテムも得た。ハイブリッドである。動力システムは1.8ℓベースのプリウス用のリチューン版。今回のハイブリッドの試乗はクローズドコースでの未登録車による短時間なものにかぎられた。その範囲でいうと、瞬発力はさすがに2.0ℓより鋭いが、トータルではとくに速いわけではない。活発さは2.0ℓが上。ウエイトが重いので低速では乗り心地重厚だが、強い入力ではガタピシする面もある。動力バッテリーは前席下にうまく隠されている。

もっとも、キラーアイテムという意味では、宿敵セレナにある衝突回避オートブレーキが、新しいノアヴォクには未装備。“ハイブリッド”あるいは“自動ブレーキ”のいずれかを必須とする向きには、それぞれ選択肢はひとつしかなくなる。逆にいうと、そこにこだわらなければ、ノアヴォクが現時点でもっとも無難なチョイスだが、ステップワゴンを選んでも、大きな不満はないだろう。なんか、煮え切らない結論になってしまうが、結局のところ、家電選びもそんなものだろう。ただ、家電も5ナンバーミニバンも、つくり手の苦悩とこだわりと負けん気はすさまじい。繰り返すが、ここは日本で最も熾烈な戦場である。

(文・佐野弘宗 写真・花村英典)

トヨタ・ノアG(FF・8人乗り)/トヨタ・ヴォクシーハイブリッドV

価格 257.0万円 287.0万円
0-100km/h na na
最高速度 na na
公称燃費(JC08モード) 16.0km/ℓ 23.8km/ℓ
CO₂排出量 145g/km 98g/km
車両重量 1570kg 1620kg
エンジン形式 直4DOHC, 1986cc 直4DOHC, 1797cc
エンジン配置 フロント横置き フロント横置き
駆動方式 前輪駆動 前輪駆動
エンジン最高出力 151ps/6100rpm 99ps/5200rpm
エンジン最大トルク 19.7kg-m/3800rpm 14.5kg-m/4000rpm
圧縮比 10.5:1 13.0:1
変速機 CVT(Super CVT-i) 電気式無段
モーター出力/トルク 82ps/21.1kg-m
システム出力/トルク 136ps/―
馬力荷重比 96.2ps/t 84.0ps/t
全長 4695mm 4720mm
全幅 1695mm 1835mm
全高 1825mm 1690mm
ホイールベース 2850mm 2660mm
燃料タンク容量 55ℓ 55ℓ
荷室容量 na na
サスペンション (前)マクファーソン・ストラット マクファーソン・ストラット
(後)トーションビーム トーションビーム
ブレーキ (前)Vディス Vディスク
(後)ドラム ディスク
タイヤ 195/65R15 195/65R15

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記

トヨタ ヴォクシーの人気画像