ドルフィンは、BYDの切り札となるか? わざわざ全高を低め日本導入

公開 : 2023.09.19 06:35

日本発売が迫るBYDドルフィンを試乗。全長4.3mのコンパクトEVで、2つの仕様が導入されます。日本向けの作り込みと充実装備で「本気」を感じさせる1台でした。

2つのドルフィン 馬力・脚の違い

執筆:Hajime Aida(会田肇)

BYDがこの秋に発売を予定するコンパクトEV『ドルフィン(DOLPHIN)』。

そのプロトタイプを使ったメディア試乗会が開催され、公道での走りをさっそく体感してきた。今回はそのインプレッションをお届けしたい。

BYDのコンパクトEV「ドルフィン」。こちらは、航続距離400kmのスタンダードモデル。
BYDのコンパクトEV「ドルフィン」。こちらは、航続距離400kmのスタンダードモデル。    会田肇

ドルフィンはBYDにとって、今年1月に導入したSUV型EV『アットスリー(ATTO3)』に続く、日本市場に向けた乗用車の第2弾となるモデルだ。

ボディサイズは全長4290mm×全幅1770mm×全高1550mmで、BセグとCセグの中間に位置付けられる。プラットフォームにはATTO3同様、EV専用「e-Platform3.0」を採用し、バッテリーには、安全性が高いとされるリン酸鉄系リチウムイオン電池「ブレードバッテリー」を搭載した。

ドルフィンのラインナップは2つある。

1つはバッテリー容量を44.9kWhとして、一充電当たりの走行距離を400kmとしたスタンダードモデルで、モーター出力は70kW(95馬力)・最大トルク180Nmとなる。

もう1つがバッテリー容量を58.56kWhとして一充電当りの走行距離を476kmとした上位グレードの「ロングレンジ」で、モーター出力は150kW(204馬力)・最大トルク310Nm。いずれのグレードも1モーターの前輪駆動としている。

サスペンションにもグレード別の違いがあり、フロントはストラットで共通としたものの、リアはスタンダードにトーションビームを、ロングレンジはリアにマルチリンクをそれぞれ組み合わせている。

また、ボディカラーはスタンダードでモノカラーとなるが、ロングレンジにはルーフとボンネットをブラックとする2トーンカラーが与えられる。

全高を日本向けに変更! 1550mm

一方、ロングレンジのみに搭載された装備としては、サンルーフやスマホ用ワイヤレス充電(Qi)、マップランプ/リアサイドランプ(いずれもLED)の搭載がある。4ドアすべてをオートパワーウインドウとしているのも使い勝手の面ではメリットになるかもしれない。

ただ、リモートスタートやNFCカードキー、USBポート(前後席にタイプAとタイプC装備)などは両グレードともに備えており、現在の日本車では考えられないほど充実した装備と言っていいだろう。

BYDドルフィン(サンドホワイト)。3サイズは、全長4290×全幅1770×全高1550mm。
BYDドルフィン(サンドホワイト)。3サイズは、全長4290×全幅1770×全高1550mm。    会田肇

先進運転支援システムは、現在考えられる機能をほとんど装備した。

アダプティブクルーズコントロール(ACC)をはじめ、自動緊急ブレーキ(AEB)やレーンキープアシスト(LKA)、フロントクロストラフィックアラート(FCTA)&ブレーキ(FCTB)、ブラインドスポットインフォメーション(BSD)といった多数の先進機能を装備。さらに、室内に2つのミリ波レーダーを備えて、子供やペットの“置き去り検知機能”も備えた。

しかもこの機能をグレードに関係なく、すべて標準装備としているのだ。これには驚いた。

クルマとしての使い勝手にも、日本市場向けに特別な気遣いを施している。

ウインカーレバーを右側にしたり、急速充電は日本で一般的なCHAdeMO方式に対応。

全高も本来なら1570mmだったものを、日本仕様だけ回転式駐車場にも入庫できる1550mmに変更。様々な機能を音声で操作できる機能も日本語対応としている。

また、日本市場向けとして義務化されている誤発進抑制システムの開発も進め、搭載を予定しているという。

記事に関わった人々

  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

関連テーマ

おすすめ記事