ドルフィンは、BYDの切り札となるか? わざわざ全高を低め日本導入

公開 : 2023.09.19 06:35

インテリア いい所 気になる所

さて、最初に試乗したのはスタンダードモデル。

運転席に座ってまず感じるのがシンプルながら緩やかにラウンドするダッシュボードに、ドルフィン(イルカ)のヒレを彷彿させるドアノブなど、随所にデザインへのこだわりが感じられることだ。

ドルフィンの前席(内装色:ブラック+ブラウン)。前席・後席ともに、USBポートはタイプA×1・タイプC×1を備える。
ドルフィンの前席(内装色:ブラック+ブラウン)。前席・後席ともに、USBポートはタイプA×1・タイプC×1を備える。    会田肇

一方で、運転席前のディスプレイはかなり小さめだ。

速度計や走行モード、使用電力の表示は十分なサイズにあるが、その一方で制限速度やADAS系の表示は極めて小さく、老眼が進んだ年代にはかなりキツく感じる。

それに対してセンターディスプレイは「タブレットか?」と思わせるようなビッグなサイズ。

ここには回転機構も備え、カーナビの他、様々な車両情報を表示できるようになっている。

ただ、ここでも操作するためのアイコンは小さめで、タッチ操作するにも画面を直視しないと難しいと思えるほど。さらに日本語での音声認識に対応したのは車載側の機能のみ。カーナビの目的地検索にはATTO3同様、対応していなかった。

スタンダードに試乗 その出来は?

シフト切り替えはセンターにあるダイヤル式スイッチを前後に動かして行う。

シフトスイッチだけにはシボが彫り込んであって操作もしやすいが、ドライブモードはスイッチの表面がツルツルとしていて、操作感はイマイチ。

BYDドルフィンのシフトセレクター(右)。ドライブモードはその隣。
BYDドルフィンのシフトセレクター(右)。ドライブモードはその隣。    会田肇

この辺も含め、インターフェース全体として課題を感じたのは正直なところだ。

しかし、走り出すとその印象は一変した。

モーター出力が低いスタンダードであるにも関わらず、一般道でのスムーズな滑り出し、高速道への入路も十分なパワーで対応するなど、“普通の走りをするには十分”であることを実感。

走行中の安定感も高く、路面の凹凸に対しても上手にいなしており、その意味ではガソリン車から乗り換えても違和感なく快適なドライブが楽しめると思っていいだろう。

ロングレンジ 太いトルクが魅力

続いて、バッテリー容量の大きいロングレンジに乗り換えた。

アクセルを踏み込むと、スタンダードモデルとは桁違いのビッグトルクが圧倒的な加速感を発揮した。

こちらはドルフィン・ロングレンジ(アトランティスグレー+ブラック)。航続距離は476kmになり、パワーもアップ。
こちらはドルフィン・ロングレンジ(アトランティスグレー+ブラック)。航続距離は476kmになり、パワーもアップ。    会田肇

それもそのはず、モーター出力がスタンダードの70kW(95馬力)・最大トルク180Nmから、150kW(204馬力)・最大トルク310Nmにまで引き上げられているのだ。

この違いは圧倒的で、高速道路を走る機会が多いのなら間違いなくロングレンジがオススメとなるだろう。

気になる価格は現時点で未発表だ。BYDジャパンによれば価格発表は9月下旬になるとのこと。

その価格は大いに気になるところだが、ちなみに上位モデルATTO3の販売実績は8月下旬の段階で700台を超え、BYDジャパンとしては「まぁまぁの滑り出し」としている。

ドルフィンの投入はそうした状況をさらに後押しする役割を期待されているのは確実。また、BYDは今年の上海モーターショーで、さらにコンパクトな『シーガル』を発表しており、この辺りの展開も気になるところだ。

果たしてドルフィンは期待通りの価格で登場するか。価格発表を楽しみにしたいと思う。

記事に関わった人々

  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

関連テーマ

おすすめ記事

 

BYDの人気画像