4モーターで360°ターン可能 Gクラス電動コンセプトがモビリティショーで公開

公開 : 2023.10.29 11:05

電動化を推進するメルセデス・ベンツがジャパン・モビリティショー2023でGクラスの電動化モデル『コンセプトEQG』を日本初公開しました。ルックス、機能共にGクラスのDNAを継承しながらも、電動化により一層の高性能化が図られたようです

コンセプトEQGが日本初公開

電動化を推し進めるメルセデス・ベンツは、新たなEQモデルとなるコンセプトEQGを、ジャパンモビリティショー2023で日本初公開した。

1979年にGクラスが誕生して以来、高級車におけるオフロードモデルというセグメントを確立。ゲレンデヴァーゲン(=オフロード車両)という名がすべてを物語り、この4月には50万台目をラインオフしている。

メルセデス・ベンツ・コンセプトEQG
メルセデス・ベンツ・コンセプトEQG    上野和秀

Gクラスの4輪駆動性能は電動車にも引き継がれ、いくつかの面ではより進化を遂げたという。展示されたのは量産間近なレベルまで高めたコンセプトEQGである。

コンセプトEQGは、一見するとこれまでの内燃エンジンを搭載するGクラスと、ほとんど変わらぬように見える。しかし、仔細に見るとやや丸みを帯びた造形であることに気付くだろう。

フロントグリルに代わるディープブラックのフロントパネルには、光るスリーポインテッドスターが存在感を放つ。パネルにはおなじみのブルーに光る「丸味を帯びた正方形」のパターンを配し、EQファミリーであることを主張する。

リアドアのスペアタイヤケースも踏襲されたが、実際にはタイヤではなく充電用ケーブルが収められるスペースとなる。またルーフキャリアも新デザインとされている。

4基のモーターを独立制御

コンセプトモデルだけに、最高出力やバッテリー容量などの数値は今回発表されなかった。しかし公表された情報の中から注目すべきメカニズムを紹介してゆこう。

4モーター方式が採用され、各ホイールに近い位置にモーターを配置。これにより4輪を独立して制御でき、従来のデフロック以上にトラクションやトルクベクタリングを容易にコントロールできる。

メルセデス・ベンツ・コンセプトEQG
メルセデス・ベンツ・コンセプトEQG    上野和秀

注目したいのは4モーター化で個々を制御できることから、その場で360°回転できる「Gターン」と呼ばれる機能が備わり、これは量産モデルでも採用される予定だという。

コンセプトEQGには本格4輪駆動車が備えるオフロード用低速ギアを装備する。切り替え式の2段変速機によって選択可能で、高いオフロード性能を実現している。

シャシー構造には堅牢なラダーフレームを採用し、フレーム内には走行用バッテリーが組み込まれる。車体底面にはオフロードでの使用状況を考え、バッテリーを保護する複合素材のアンダーガードが新たに開発された。

バッテリーやモーターの防水性にも配慮されており、内燃エンジンを積むGクラスと同等の渡河性能を備えるという。

サスペンションもGクラスにふさわしい、フロントに独立懸架式、リアは電気駆動システムを組み込むために新開発されたリジッドアクスルを備える。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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