ジャガーは驚きで満ち満ちているクルマだとすれば(良いところもあれば、まったくそうでないところもある)、ヴォグゾールは先が読みやすいクルマだ。”親しみやすく、頼りになり、楽しむことが大好きなキャラクターは、純粋無垢なラブラドール犬と似ている” と述べたのはアンドリュー・フランケル。BMW M4の従順なキャラクターに似ているとも言えるかもしれない。

そして最後に真のサラブレッドとして、高い評価を獲得したシボレー・コルベット。この結果を予想外だと言う人もいらっしゃるかもしれない。全車総合順位は6位、アメリカン2シーターとしてのプライドを傷つけることはなかった。

基本に力を注いだスティングレイは、結果としても非常に良いものとなった。先代が力尽きてしまうようなシチュエーションでも、極めて速く走ることができる。情緒的なV8エンジンは、力強さはもちろんのこと、柔軟性にも富んでいる。シャシーやステアリングの反応に濁りはなく、フィードバックにも満ちている。グリップもかなりのもので、フロントにも粘り強さがあるし、リアのスタビリティも素晴らしい。スティングレイには、スポーツカーに求める全てが備わっていると言っても良い。

エレクトリック・デバイスの介入マナーもとても良く、楽しさをスポイルすることはない。とくに限界域近くのスティングレイには、暴れだそうとする性格が垣間見れるため、グリップの限界を越えてしまいそうになるときに上手く手助けしてくれた。その一方で、ロードカーとしては、左ハンドルしか用意されていない点や、広い全幅、高速巡航時の洗練性など、まだまだ改善の余地は残っているのは事実だ。

しかし、この3台の中ではスティングレイがもっとも速く走らせたいという衝動に駆られさせてクルマだったのは間違いない。カテゴリーこそV8のマッスルカーに属してはいるものの、ポルシェ911 GT3やフェラーリ458が属するカテゴリーにもっとも近いと感じた。

V8を載せたクルマづくりは、相も変わらずアメリカが優勢であった。改めてここに敬意を表します。