ロータス・エリーゼS
公開 : 2012.12.18 18:08
となると、重くてハイパワーで、しかもリヤ優勢気味ということであり、誕生から17年が経ってエリーゼは堕落してしまったようにも思える。
だが、減衰力を上げたダンパーやバケットを装備するスポーツパック仕様のエリーゼSを箱根で走らせると、そうした机上論はとりあえず忘れていられる。履いたネオバの路面把握力は極めて強力で、後輪が操舵初期から徹底して踏ん張りを解こうとはしないあたりは基本設定そのままなのだが、それでいて尋常な神経で出せる速度域では前輪が負けるような素振りを見せることはなく、エリーゼSは鮮烈に曲がっていく。φ270mmの小径リムを戻しながらアクセルを開ければ、今度は下から分厚いトルクの波が襲ってくる。その立ち上がり加速は、950kgに増えた車重をものともせず、そこらの高性能車にひけをとらぬ勢いで次のコーナーに向かって突進して行く。
もちろん代償はある。いかにラジアル最強級のネオバとはいえ、そこまでの接地力を担保するのは、そう簡単には動こうとしないアシの助け合ってこそである、この硬いアシは、先述のごとくダンパー依存性の高い設計から推測されるとおりで、伸縮速度の遅い領域で減衰力を強力に引き上げたダンパーの能力によって実現されている。ゆえにエリーゼSは、伸縮速度が高くなる鋭いハーシュ系の入力には何とか対応できているが、蒲鉾型に盛り上がったような路面アンジュレーションに遭うと、とたんに跳ね気味になってタイヤ接地荷重が不安定になる。はっきりと姿勢を乱すのだ。スポーツパックは、公道走行には厳しい部分があり、路面不整のないサーキットを見据えて仕立てられたものだろう。公道メインのユーザーは標準仕様のほうが楽しめると思う。
フェイズ3のエリーゼSは、そんな按配のクルマになった。もはや異次元の軽量体躯ではなく、速いエンジンを強力なタイヤグリップで走らせる印象も濃くなった。しかし、それはエリーゼ世界の中での話であって、外界を省みると、それが依然として世の中の高性能車とは隔絶して稀有な存在であることに気づく。思えば登場時のエリーゼも、基本設計領域の純度で光ったスポーツカーではなく、他との関係で相対的に輝いたクルマだった。その意味では今もエリーゼはプレゼンスを変えていないのだ。とはいえ、基本要素の枠はもうこれで一杯一杯に使い切っていて、はみ出す寸前という雰囲気もある。早くロータスの次の手が見たい。
(文・沢村慎太朗 写真・花村英典)
ロータス・エリーゼS
| 価格 | 610.0万円 |
| 0-100km/h | 4.6秒 |
| 最高速度 | 234km/h |
| 燃費 | 13.3km/ℓ |
| CO₂排出量 | 175g/km |
| 車両重量 | 924kg |
| エンジン形式 | 直4DOHC機械過給, 1798cc |
| エンジン配置 | ミド横置き |
| 駆動方式 | 後輪駆動 |
| 最高出力 | 220ps/6800rpm |
| 最大トルク | 25.4kg-m/4600rpm |
| 馬力荷重比 | 238ps/t |
| 比出力 | 122ps/ℓ |
| 圧縮比 | 10.0:1 |
| 変速機 | 6段M/T |
| 全長 | 3800mm |
| 全幅 | 1720mm |
| 全高 | 1130mm |
| ホイールベース | 2300mm |
| 燃料タンク容量 | 40ℓ |
| 荷室容量 | na |
| サスペンション | (前)ダブルウィッシュボーン |
| (後)ダブルウィッシュボーン | |
| ブレーキ | (前)φ288mm Vディスク |
| (後)φ200mmドラム | |
| タイヤサイズ | (前)175/55R16 |
| (後)225/45R17 |



