クルマ漬けの毎日から

2022.12.24

フォードは小型車フィエスタの生産を2023年に終了すると決定。手頃な価格で、とくに若者に長年支持されてきたフィエスタ。もっと高額でサイズアップする次世代EVに、若い世代は魅力を感じるでしょうか?

フォード・フィエスタ、生産終了は危険な行為!【クロプリー編集長コラム】

もくじ

熟成のフィエスタ
後継EV 若者の気持ちを掴めるか?

translation:Kaoru Kojima(小島 薫)

熟成のフィエスタ

この秋、フォードはフィエスタの生産を2023年に終了すると発表した。

当初このことについて、私はとくに異論を唱えるつもりはないと、このコラムに書くつもりであった。その理由は今週末、2年前に製造されたフィエスタSTに試乗したところ、私たちドライバーは、すでに最高のフィエスタを手にしていると思ったからだ。

この先何年も、中古車市場には状態のよいフィエスタが出回るだろう。

週末、フィエスタSTに試乗。2年前に生産されたフェイスリフト前の2ドアモデル。

しかし、AUTOCARの若い同僚(そうは見えないかもしれないが、われわれのチームは若いのだ)と話していて突如、私はこの考えを変えた。

いまは、フォードがフィエスタの生産を終了するのは、じつに危険な行為だと訴えたい。

なぜなら、軽快によく走り、サイズも適切で、価格も手頃なフィエスタの後を引き継ぐのは、もっと大型で重量があり、スポーティーでもなく、またずっと高額なモデルだから。

後継EV 若者の気持ちを掴めるか?

もちろん、フォードは利益を上げられるクルマを製造していかなければならない。

だが、若い人たちはこの先、いったいどれだけ支払えば、欲しいと思うクルマを手に入れることができるのだろうか?

最新のフォード・フィエスタ。1976年の初代発売以来、とくに欧州では常に人気の小型車。

もし若者たちに、このクルマを買いたいと思わせる要素が何もなければ、新しい名を持つ次世代フォードの小型EVは、どのようにして未来のエンスージァストの心を掴むことができるのだろうか?

この点を私は危うく見落とすところであったが、同僚との会話をきっかけに、懸念すべきことだと気がついた。

さらに言えば、これはフォードに限った話ではない。他の自動車メーカーの経営陣も、フォードと同じことをしようとしている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。

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