クルマ漬けの毎日から

2022.12.25

ロンドンでは、毎年11月初旬の1週間にさまざまな自動車イベントが催されます。この「ロンドン・モーター・ウィーク」ではクロプリー編集長も一役買っています。最終日には、伝統の「ブライトン・ラン」も開催。

クルマの祭典「ロンドン・モーター・ウィーク」【クロプリー編集長コラム】

もくじ

初日:主催者 名門自動車クラブ RACへ
2日目:RACの授賞式
2日目夜:憧れの人にインタビュー
7日目:ブライトン・ラン

translation:Kaoru Kojima(小島 薫)

初日:主催者 名門自動車クラブ RACへ

1週間の始まりの今日(月曜日)、ロンドン・モーター・ウィークが始まる。

イギリスの伝統ある自動車クラブ「ロイヤル・オートモビル・クラブ(RAC)」が7日間にわたって主催するこのフェスティバルでは、講演会、授賞式、展示、ディナー、コンクール・デレガンスなどの興味深いイベントが連日開催される。

ロンドン・モーター・ウィークとは毎年何らかの関わりを持ち続けたいと、私は強く願っている。

1895年創刊のAUTOCARと1897年設立のRACは、ともに長い歴史を持つ組織だ。両者が協力して何かを行なえるのは、じつに素晴らしいことだと思う。

初日の夜、ロンドンのペルメル街にあるロイヤル・オートモビル・クラブ(RAC)の豪華なクラブハウスで、AUTOCARは読者ミーティングを開催した。

またしてもわれわれ編集部は、読者の皆様がクルマの知識が豊富なことに感動し、また和やかな雰囲気の中で皆様と交流できたことを嬉しく思った。

同僚のマット・プライアと私は、アリエルの創始者のサイモン・ソーンダーズにインタビューした。参加した方もそう感じたと思うが、ソーンダーズは控えめでありながらも、率直かつオープンに話す独特な人だ。

次のセッションでは、クルマに関する差し迫った問題について、活発な議論が行なわれた。

どのように問題に向き合っていくのかについて、ここでも参加者の方々から貴重な意見をたくさんいただいた。これからも、こういう機会をもっとつくりたいと思っている。

2日目:RACの授賞式

2日目も再びペルメル街のRACへ行き、この自動車クラブが毎年授与しているデュアー・トロフィと、シムズ・メダルの表彰式に出席した。

デュアー・トロフィは、イギリスの自動車産業の技術発展に大きな成果を挙げた人に、またシムズ・メダルは、常識にとらわれず革新的創造に貢献した人に、それぞれ授与される。

ロイヤル・オートモビル・クラブ(RAC)の正面ホール中央に展示されたマクマートリー・スピアリング。開発チームはRACのシムズ・メダルを受賞。

今年のデュアー・トロフィは、ブリックスワース(イギリス中南東部)に本拠を置く、メルセデスAMGハイパフォーマンス・パワートレインズ社が受賞。

このチームは、純粋なF1エンジンをパワーのあるロードカー「メルセデス AMG ONE」に搭載し、利便性と耐久性を高めるという難しいプロジェクトに挑戦し、見事にやり遂げた。

メルセデスAMGハイパフォーマンス・パワートレインズ社はその名にかかわらず、純粋にイギリスの会社である。13人のイギリス人スタッフからなるこのチームは、今回の受賞を大いに喜んでいる。

マクマートリー・スピアリング。グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2022でヒルクライムの新記録を樹立。

もう1つの賞「シムズ・メダル」は、マクマートリー・オートモーティブが受賞した。

グロスターシャーに拠点を置くこの会社は、大胆で型破りなマクマートリー・スピアリングを製造。スピアリングは、今年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードのヒルクライムで新記録を樹立し、大きな話題を呼んだ。

2日目夜:憧れの人にインタビュー

この日の夜は、ジョナサン・パーマーにインタビューした。

元F1のスターであり、TVコメンテーター、またサーキットを運営する実業家でもあるパーマーは、RACが年に一度催す「モータリング・ディナー」に、主賓として出席。

じつはパーマーは私のあこがれの人なのだ。だから、インタビューは順調に進んだ。

翌朝、パーマーにお礼のメッセージを送ったところ、午前9時14分に返信と写真をいただいた。その写真は、スペイン北部にあるナバラサーキットの中央で撮られたものだった。

その前日、パーマーが経営するモータースポーツ・ヴィジョンは、正式にナバラサーキットの購入を完了したばかりだった。

そしてインタビューの翌日にあたるこの日、私に返信をくれた時、早くもパーマーはこのサーキットを公式に初訪問していた。

レーサーというのは、時間を無駄にしない人種だ。

7日目:ブライトン・ラン

ロンドン・モーター・ウィークの最終日(日曜日)の早朝、まだ暗い中ハイドパークへ向かった。

ブライトン・ランに参加する、350台余りのベテランカー(1905年以前に製造されたクルマ)のスタートを観るためだ。

今年は、同僚のマーク・ティショーとウィル・リメルも参加する。2人が運転するのは、1904年製の世界最古のローバー。今回のブライトン・ランには、ブリテッシュ・モーターミュージアム(イギリス中部のゲイドン)が所蔵する歴史車両が7台参加しており、ティショーとリメルが運転するローバーはそのうちの1台だった。

40年にわたってこの世界最古の自動車イベントを観たり、実際に参加したりしてきたが、この日の天候はその最初の年と同じくらい最悪だった。

雨は1日中降り続いたので、フロントガラスもルーフもないクルマを運転するには、最悪の状況だ。

だが、BMWの招待により参加したブリテッシュ・モーターミュージアムの7台の歴史的車両はどれも、この60mile(約97km)の旅を見事に完走した。

同僚のティショーは、この経験を次のように話した。「雨は、前方からは直接顔に当たり、上からも猛烈な勢いで降り注いでくる。大雨の中をベテランカーで走るのは、まるでホテルの高圧シャワーを浴びている時のようだった」と。

たとえそうであっても、ティショーとリメルは笑顔でゴールした。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。

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