クルマ漬けの毎日から

2023.12.23

取材を通して見た「2023年」前編【クロプリー編集長コラム】

2月 名デザイナー ピーター・ホーバリー

ブリティッシュ・モーター・ミュージアムはロータスをテーマにした夜のイベントを開催。ロータスのデザイントップのピーター・ホーバリーが出席したことで、このイベントは忘れられない会になった。というのもホーバリーはこの数か月後、中国出張中に急逝したからだ。これが、ホーバリーが公に姿を見せた最後の機会の1つとなった。

このイベントにはロータスで長年チーフデザイナーを務めるラッセル・カーも出席。カーはデザインチームを率いて、新型エミーラに美しいデザインをもたらした人物であるが、この日はエミーラのデザインの秘密を聴衆に説明してくれた。

3月 BRM V16とロータス25

グッドウッドは素晴らしいことを続けている。これまでに製造されたイギリスのレーシングカーのなかでも極めて偉大な2台をシーズンプレビューで並べて展示し、フォーミュラ1における10年余りの技術的飛躍の大きさを示した。

その1台は1950年の「BRM V16」。もう1台は1962年の「ロータス25」。2台はともに初出走から大いに注目を集めた。

4月 トライアル・スペシャルとフィアット850

楽しいイベント「ビスター・ヘリテージ・スクランブル」へ行くと、春の訪れを感じる。

このよく使い込まれながらも美しく、公道走行も可能なイベント用のトライアル・スペシャル(ベースはアラード/V8エンジン搭載)に大金を投じてはならないと、私は自分に言い聞かせた。

一方妻は、このフィアット850に入札しないように我慢していた。彼女の最初のクルマは850だったが、これほど美しい個体ではなかった。とはいえ、この850は売りに出されていたわけではない。

4月 シトロエン・アミ

シトロエン・アミは私にとって今年もっとも期待外れだったクルマ。型破りのスタイルと設計思想を持ちながらも、2CVの魅力と性能を備えたクルマであろうと我々AUTOCARは期待していた。

EVを嫌う人たちのなかには、現代EVはイギリスでおなじみの牛乳配達用EVや、ゴルフカートのEVと同レベルのクルマだと思い込んでいる人がいる。アミはそういう人たちを満足させた2023年のEVだった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
 
 

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