いま運転の楽しいEVは? 3位〜1位 ポルシェ・タイカン GTS BMW i4 キアEV6 GT 英編集部選TOP 11(4)

公開 : 2022.10.16 08:25

ドライバーズカーと呼べるEVは? 魂を震わせる感動は得られるのか? 英編集部が優れた11台を比較し2022年の頂点を選出しました。

エンジンがなくても運転は楽しい

11位から4位までは決まった。上位3台が絞られたところで、まずはもう一度、クルマを運転する楽しさについて考えてみよう。

今のところバッテリーEV(BEV)は、限りある航続距離の不安から開放されていない。充電器を探す手間や、駆動用バッテリーの寿命も不透明だったりする。まだ心配ごとは少なくない。

シルバーのキアEV6 GTとレッドのポルシェ・タイカン GTS スポーツツーリスモ
シルバーのキアEV6 GTとレッドのポルシェタイカン GTS スポーツツーリスモ

さらにその普及とはつまり、愛すべき内燃エンジンと多段トランスミッションの終焉も意味している。ゆっくりだが、不可逆的に進んでいるようだ。

エンジンもトランスミッションも、金属とプラスティックでできた部品の集合体に過ぎない。しかし、それらが最適な状態で組み上げられると、想像以上の喜びを与えてくれる。

痛快に吹け上がるホンダのVTECユニットや、シンフォニックなランボルギーニのV型12気筒に、心が動かされないクルマ好きはいないのではないだろうか。エンジンは、笑顔の源だといえる。しかし、それ以外でも笑顔は作れる。

今回勝ち残った3台は、エンジンがなくても運転が楽しいということを、われわれに教えてくれた。エンジン・ロスやトランスミッション・ロスに、長く嘆いている必要はないかもしれない。しかも、ドライバーを喜ばせる手法はそれぞれに異なる。

BEVは薄味で、多くのモデルが画一的になるのではないかと心配する読者もいらっしゃると思う。しかし、ポルシェ・タイカン GTS スポーツツーリスモとBMW i4 eドライブ40、キアEV6 GTは違う個性と感覚でアピールしてくる。うれしい事実だ。

これ以上速い必要性は感じないBMW i4

いずれも完璧とはいえないかもしれない。しかし、笑顔を引き出すことは可能だと断言できる。

BEVを楽しくさせる特長の1つは、トルクフルで高回転域まで滑らかに回る駆動用モーターと、それによって叶えられる秀でた動力性能だろう。もちろん、この3台も満たしている。

グレーのBMW i4 eドライブ40 Mスポーツと、シルバーのキアEV6 GT
グレーのBMW i4 eドライブ40 Mスポーツと、シルバーのキアEV6 GT

最も控えめな数字のBMW i4ですら、340psの駆動用モーターをリアに搭載し、0-100km/h加速を5.7秒でこなす。出だしから鋭く、パワーの調整も容易で、100km/h以上の速度でも勢いはさほど衰えない。

実際のところ、これ以上速い必要性は感じないほど。それでもタイカン GTSはツインモーターで598psを発揮し、ヘアピンから猪突猛進。四輪駆動だから、1Wも電気を無駄にすることなく運動エネルギーへ展開される。

合成サウンドも雰囲気を高める。内燃エンジンのような響きと、SF映画的な響きが重なり合い、スピードの上昇とともに音質が変化していく。駆動用モーターはほぼ音を発しないから、スピード感を掴むのに丁度いい。

BMWで聞こえる、スタートレック風のサウンドも悪くない。だが、筆者はポルシェの方が好みだ。

タイカンには2速ATが搭載され、高速域に迫ると僅かな変速ショックが伝わってくる。ドライバーがギアを選べるわけではなく、とても小さい揺れながら、ほかのBEVとの違いを生んでいる。タイカンとの一体感を高めている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マーク・アンドリュース

    Mark Andrews

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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