【ライバルに勝る楽しい走り】新型 フォード・クーガ PHEV STラインへ試乗

公開 : 2020.03.31 10:20  更新 : 2021.07.27 14:54

欧州フォードのベストセラーSUVとなっている、クーガがフルモデルチェンジ。プラグイン・ハイブリッドを搭載し、高い実用性はそのままに、ダイナミクス性能と洗練性が磨き込まれました。3代目となる新型を英国で評価しました。

フォードで最も売れているSUV

text:James Disdale(ジェームス・ディスデイル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
成長を続けるSUVカテゴリーに投入される、新しいフォード・クーガ。2008年以来、高い完成度を備えたフォードの定番モデルとなっている。エコスポーツとエスケープは、ちょっと元気がない。

初代クーガは見た目も良く、操縦性にも優れていたが、販売台数はさほど伸びなかった。要因の1つは、SUVブームが本格的に始まる前だったからだろう。

フォード・クーガ2.5PHEV STライン(英国仕様)
フォード・クーガ2.5PHEV STライン(英国仕様)

2013年に登場した2代目は、世界的な「ワン・フォード」戦略のもとで生まれた。ニューヨークでも、ロンドンと同じように優れた使い勝手を提供する必要があった。サイズは大きくなっていたが、ドライバーを楽しませてくれる性格も受け継いでいた。

スロースタートを切ったカタチだったが、モデル末期の2・3年で売上は上昇。ヒットモデルとなり、フォードで最も数を多く売るSUVにまで成長している。最新版のフォード・クーガが背負っている期待はかなり大きい。

野心的に先代の成功を再び勝ち取るべく、土台から新しく生まれ変わった3代目クーガ。幅広く設定されたパワートレインも特徴の1つ。ガソリンとディーゼルエンジンに加えて、ディーゼル・マイルドHVと、ガソリン・プラグインHVが含まれる。

ボディサイズは先代から拡大。ショールームでのアピール力を高めるべく、装備も充実した。アダプティブ・クルーズコントロールとステアリング・アシストによる、半自律運転システムも搭載する。

ネットワーク接続のコネクティビティをサポートする。扱いやすいタッチモニターには、フォード・パス・コネクトと呼ばれるソフトウエアを実装。スマートフォンからクーガを遠隔的にモニタリングすることも可能だ。

装備を充実させつつ80kgの軽量化

先進技術をふんだんに投入しながら、車重を80kgも削っていることも見逃せない。今回試乗したプラグイン・ハイブリッドの場合、先代には該当モデルがないものの、車重は1844kgとなる。

参考までに、三菱アウトランダーPHEVと比べると50kgほど軽い。絶対的には軽量とはいえないが、装備を考えれば悪くない数字だと思う。

フォード・クーガ2.5PHEV STライン(英国仕様)
フォード・クーガ2.5PHEV STライン(英国仕様)

このプラグイン・ハイブリッドは、フォード・エスケープに採用されるシステムの派生版。アトキンソン・サイクルの2.5L 4気筒エンジンを搭載し、CVTと組み合わされる。14.4kWhのリチウムイオン・バッテリーが、電気モーターを動かす。

システム総合での最高出力は225psで、充分にたくましい。電気モーターの動力だけで、136km/hまでの速度をカバーし、最大56kmの距離を走行できる。一般的な充電器では、6時間でフル充電できる。

ボディの見た目は大幅に変わった。エッジの立ったシャープなラインは姿を消し、ソフトで抑揚のあるデザインに一新。一回り小さい新型プーマと共通するテーマであることは瞭然だ。

ズングリとしたフォルムは、人によっては先代ほどカッコ良く感じられないかもしれない。特にSTラインの場合、ホイールアーチ・エクステンションに18インチのガンメタル・ホイールを履き、個性的な雰囲気がある。

インテリアは先代と同様、大きなフォード・フォーカスのよう。実際、ダッシュボードはほぼそのままクーガにも組み付けられている。

プーマと同様に、ドライバーの正面にあるのは液晶モニターによるメーターパネル。ドライビングモードに合わせて、メーターのグラフィックテーマが変化する。

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