【国内試乗】ベントレー・フライングスパー ミュルザンヌを上回る快適性/ダイナミクス

公開 : 2020.03.31 11:05  更新 : 2021.10.13 15:50

新型ベントレー・フライングスパーに渡辺敏史が試乗しました。これまでのフライングスパーの歩みを振り返るとともに、新型の変更点を詳しくお伝えします。試乗インプレッションも。「工業ではなく工芸」です。

ミュルザンヌに代わりフラッグシップに

text:Toshifumi Watanabe(渡辺敏史)
photo:Sho Tamura(田村 翔)

2010年の発売以来、10年にわたってベントレーのフラッグシップサルーンの座を守り続けてきたミュルザンヌが、この春、いよいよその役目を終える。

その端緒は60年前に遡るV8ユニットを筆頭に、それは彼らの伝統にタイヤがくっついたかの如き希少な逸品ではあるものの、環境性能を筆頭とした今日的な法規の適合が難しくなっていたという事情が大きいのだろう。

ベントレー・フライングスパー
ベントレー・フライングスパー    田村 翔

ともあれ残念な話だ。

そのベントレーの公式リリースをしみじみと眺めると、そのミュルザンヌに代わりフラッグシップに立つモデルとして、フライングスパーの名が挙がっている。

もともとミュルザンヌはハイエンドサルーンの中でも孤高の存在感を放っていたこともあり、その任を受け継ぐこのモデルの責務は尚更に重くなった。

VWの傘下に入ってからのベントレーは、自らの紡いできた歴史との折衷を模索しながら、グループが保有するテクノロジーでまったく新しいモデルレンジを築き上げた。

それが03年に登場したコンチネンタルGTだ。

第二次大戦後、パーソナル・モータリゼーションの開花と共に、海の向こうの大陸旅行への夢をしのばせるモデルとして富裕層にアピールしたのが、その名も「コンチネンタル」だ。

オリジナルのコンチネンタルはサルーンのRタイプをベースに2ドア化しているが、21世紀のコンチネンタルは時系列的には2ドアのGTをベースに室内空間を拡張して4ドアを構築、コンチネンタル・フライングスパーとして05年にデビューした。

フライングスパー、最新モデルに至るまで

「フライングスパー」はその昔、Rタイプの実質後継となるSタイプに用いられたもので、クーペと同等の動的水準を持つスポーツセダン的な立ち位置を示した名称だ。

05年当時のハイエンド系スポーツセダンといえばAMGのS55やアウディS8や……というところに、コンチネンタル・フライングスパーはW12ツインターボの爆発的なパワーを4WDの強烈なメカニカルグリップで受け止めるという物量的優位も引っ提げてライバルを圧した。

グループのストラテジーに沿ってアーキテクチャーをポルシェ・パナメーラと同じMSBに。前輪を車体前方側に130mm移動しながら相対的にエンジン搭載位置を中央寄りとすることで、それまでとはプロポーションを大きく違えたものとなっている。
グループのストラテジーに沿ってアーキテクチャーをポルシェパナメーラと同じMSBに。前輪を車体前方側に130mm移動しながら相対的にエンジン搭載位置を中央寄りとすることで、それまでとはプロポーションを大きく違えたものとなっている。    田村 翔

今や600ps級もザラという現在のこのカテゴリーの有り様を最初に定型化したモデルといっても過言ではない。

13年にデビューした2代目ではコンチネンタルの名称をクーペ専用とし、フライングスパーとしてセダンの立ち位置を明確化。

そして昨19年にデビューしたこの3代目は、グループのストラテジーに沿ってアーキテクチャーをポルシェ・パナメーラと同じMSBへと一新。

前輪を車体前方側に130mm移動しながら相対的にエンジン搭載位置を中央寄りとすることで、それまでとはプロポーションを大きく違えたものとなっている。

これはもちろん動的質感の変化にも繋がっており、前後重量配分はほぼ54:46と、中立寄りに大きく適正化された。

また、アルミ複合材を用いたシャシーコンストラクションによって、車両重量も先代比で38kg軽量化されている。

記事に関わった人々

  • 田村翔

    Sho Tamura

    1990年生まれ。東京工芸大学芸術学部写真学科卒業後、2013〜2020年までアフロスポーツのメンバーとして活動。2020年よりフリーに転向。光と影を生かしながらレーシングカーやアスリートの「美」と、報道的かつ芸術性を追求した表現を目指し、モータースポーツと国内外のスポーツ競技を撮影する。日本レース写真家協会(JRPA)会員/日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。

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