現地ルポ、ディーゼル不正 VWグループの苦境続く 業界全体への影響も

公開 : 2018.07.29 12:10

発覚から2年半以上が経過しても、ディーゼルゲートの余波は収まりません。6月にはアウディ現職CEOの逮捕が大きな衝撃をもたらしましたが、リコールの改修を受けた車両にも新たな不具合が報告されています。業界全体を巻き込むこの問題、今後どうなるのでしょうか?

もくじ

現職CEO逮捕の衝撃
その他の逮捕者
リコールの進展
広がる影響
番外編:アウディeトロンSUV 助手席初試乗

現職CEO逮捕の衝撃

フォルクスワーゲングループCEOのヘルベルト・ディースは、ディーゼルゲートに関連してルパート・シュタートラーが逮捕されたあとも、彼がアウディのトップとグループ取締役会メンバーに復帰する可能性を否定していない。

ドイツで最大発行部数を誇る日曜新聞から、先週シュタートラー復帰の可能性について質問を受けた際、ディースは「検察当局からの嫌疑が真実だと証明された場合、どうすべきかは明らかです」と答えつつ、「非常に大きなショックです。主要自動車ブランドのCEOが逮捕されるなど、これまで一度としてなかったことです。この拘束について理解するのは困難です。わたしが知るルパート・シュタートラーという人物は問題を解決する側の人間なのですから」と続けた。

シュタートラー逮捕のニュースは、この業界を揺るがす大事件が、依然として収まってなどいないということを、ひとびとに思い出させるに十分なものだった


2015年9月のスキャンダル発覚以降、2年半以上が経過した今年6月19日に、不正ソフト搭載車両の販売に関する詐欺行為と虚偽広告の捜査の一環として、シュタートラーはその身柄を拘束された。

彼は、20人いるフォルクスワーゲングループの上級取締役のひとりとして、ここ数カ月のあいだ、ディーゼルゲートに関する非難の的となっていた。フォルクスワーゲンが米国検察当局との間で合意した声明が、「ディフィートデバイス」を最初に考案したのはアウディのエンジニアだったと名指ししており、事件の注目が、シュタートラーが2007年以来CEOを務めるアウディへと移ってきていたのだ。

訴追されてはいないが、ミュンヘン検察当局はシュタートラー身柄拘束の理由として「証拠隠蔽の恐れ」を上げており、「シュタートラー氏には、引き続き推定無罪の原則が適用される」とも述べている。

現職CEO逮捕の衝撃は、全世界で1070万台の車両に影響を及ぼしたディーゼルゲートに関する行政処分として、ドイツ検察当局がフォルクスワーゲングループに対する10億ユーロ(8億8000万ポンド/1300億円)の罰金を科して2週間も経たないうちにアウディを襲い、その余波で、高い期待を集めているeトロン・ブランドの電動SUVの発表が、当初予定の8月から遅れることとなった。

罰金を受け入れた際、フォルクスワーゲンは「慎重な検討の結果、フォルクスワーゲンAGはこの罰金を受け入れ、控訴は行いません。罰金受入れは、フォルクスワーゲンAGが、ディーゼル問題に対する責任を認めるとともに、この問題解決に向けたさらなる進展につながるものと考えています」と述べている。

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