【ハイソカーの元祖がここに】なぜ「ソアラと言えば2代目!」なのか すこし悲しき4世代の歴史

公開 : 2020.03.20 07:20  更新 : 2021.10.09 22:39

「ハイソカー」とも呼ばれたトヨタ・ソアラ。今回は2代目にスポットを当てながら、「すこし悲しい」ソアラ4世代の歴史を振り返ります。なぜ「ソアラと言えば2代目!」なのでしょうか。考えます。

泡とともにあったモデルライフ

text:Takuo Yoshida(吉田拓生)
photo:Satoshi Kamimura(神村 聖)

平成バブルとも呼ばれる未曽有のバブル景気は、1986年に始まり1991年まで続いた。

バブル期を象徴するクルマといえば異常な値上がりを見せたスーパーカーが真っ先に思い浮かぶが、この時期は日本車も全般的に賑やかだった。

1981年にデビューした初代ソアラ(Z10系)。基本的なスタイリングのバランスは2代目と共通している。Gメン75や太陽にほえろと言った刑事ドラマに登場して派手なアクションを演じ、クルマ好きの心を鷲掴みにした。
1981年にデビューした初代ソアラ(Z10系)。基本的なスタイリングのバランスは2代目と共通している。Gメン75や太陽にほえろと言った刑事ドラマに登場して派手なアクションを演じ、クルマ好きの心を鷲掴みにした。

好景気の勢いを借りるようにして世界の一流メーカーと対等に渡り合えるような高級車やスポーツカーが登場し、販売台数も大幅にアップしたのである。

中でもスーパーホワイトと呼ばれる真っ白なボディの2代目トヨタ・ソアラは、品の良さを感じさせるスタイリングや、直6エンジンをはじめとする高性能により、クルマ好きの男性だけに留まらない幅広い層に人気を博した。

「ハイソカー」などとも呼ばれたこの高級パーソナルクーペは、最近は聞かなくなった「助手席に乗りたいクルマ」といったランキングがあれば、必ずトップの方に顔出すような1台だったのである、

そもそも日本における高級パーソナルクーペというカテゴリーは、1981年にデビューした初代ソアラによってメジャーになったものである。

「世界にひとつ、日本にソアラ」という堂々としたキャッチコピーは、初代を徹底的に洗練させたようないで立ちの2代目ソアラのために用意されたもの。

そしてこの2代目は、1986年にデビューし、バブル景気と足並みを揃えるようにして一世を風靡し、1991年に生産が終了されたのだった。

4バルブ、エアサス等々、技術の粋が集結

トヨタが最先端技術を惜しみなくつぎ込むと宣言し、「スーパーグランツーリズモ」と銘打ったMZ20型、2代目ソアラ。

用意された2Lと3Lのエンジンがともに直列6気筒ということからも、初代からの高級路線をそのまま引き継いだコンセプトがわかる。

初代の角を取り洗練させた印象の2代目。初代から続くトーニングと呼ばれる塗り分けも人気が高かった。グレードによる見た目の差は少ないが、これはフロントフェンダー後ろのエンブレムで3.0GTリミテッドだとわかる。
初代の角を取り洗練させた印象の2代目。初代から続くトーニングと呼ばれる塗り分けも人気が高かった。グレードによる見た目の差は少ないが、これはフロントフェンダー後ろのエンブレムで3.0GTリミテッドだとわかる。

特にフラッグシップモデルである3.0GTリミテッドが搭載する3Lユニット、7M-GTEUは4バルブヘッドを装備した直6インタークーラーターボ・エンジンであり、240psの最高出力を発揮した。

昨今話題のGRヤリスは、2代目ソアラの半分ほどの排気量(1.6L 3気筒ターボ)から272psを叩き出している。そう考えると、ここ30年のガソリン・エンジンの進化の大きさを思い知らされるが、1980年代後半の240psを現在の感覚で表現するならば倍以上に相当すると思われる。

エンジンもすごいが2代目ソアラはアシもすごかった。

前後ともダブルウィッシュボーン形式が採用されたサスペンションには初代ソアラから受け継いだTEMS(電子制御可変ダンパー)も継承されている。

さらに3.0GTリミテッドでは世界初の電子制御エアサスペンションも装備されていたのである。

また複雑なヒンジを使ったイージーアクセスドアや奥行き感のあるデジタル表示のスペースビジョンメーターなど、全身に目新しさが溢れていたのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

関連テーマ

おすすめ記事

 

トヨタの人気画像