スバル・エクシーガtS

公開 : 2012.11.20 18:23  更新 : 2017.05.29 18:42

そこいらのスポーツカーを山道で追っかけ回せるミニバンといえば、オデッセイとエクシーガが双璧であろう。ともに日本車……というか、スポーツカーはだしのミニバンをつくろうという発想自体が日本人だけか?

で、これはあのSTIが仕立てたエクシーガである。STI謹製エクシーガといえば、2009年の“tuned by STI”以来の2回目。ホンダ・オデッセイにタイプRが出てくる可能性はかぎりなくゼロに近いので、エクシーガtSが世界でもっともスポーツカーに近いミニバンであることは、乗る前からほぼ確定といっていい。

ベースが2.5ℓターボ車で、エンジン本体には手を入れず、特別なのはマフラー、内外装、シャシーのみ……という基本構成は09年とほぼ同じだが、あのときとの目立つ差異は、ホイールが1インチ大きい18インチになって、ブレーキディスク拡大&ブレンボ化されたあたり。さらに“入力のいなし”という概念をいれた補強材が各部に追加されるのは09年同様だが、フロントロワーピボットのリヤ側と補強する“フレキシブルドロースティフナー・フロント”が今回から新たに追加されている(もちろんその他の細かいチューニングも当時とはちがっているが)。

というわけで、エクシーガtSの操縦性は09年のおぼろげな記憶を比較しても想像以上にステキだった。ステアリングはどこまでも正確かつ強力で、操舵すると同時に絶妙にロールして荷重を移しつつ、姿勢はつねにフラットにしている。バネも減衰もそれなりに硬そうだが、ワダチや目地段差を、速度を問わずにシュワッと吸い込んでピタッと止める。ペダルを踏んだ瞬間にリニアかつ強烈にスピードをそぎ落としていくブレーキも、ブレンボの効能が如実だ。ブレーキング時の姿勢も素晴らしく安定している。

この取材の前日がたまたまルノーの試乗会だったこともあり、エクシーガtSは“まるでルノースポールのミニバン”とさえ思った。この比喩が妥当かどうかはともかく、この乗り味はちょっとした感動。これほど鮮烈なハンドリングと姿勢安定性と情報伝達性とコントロール性とグリップ感を持つミニバンはほかにない。

(文・佐野弘宗 写真・前田恵介)

スバル・エクシーガtS

価格 374.85万円
0→100km/h na
最高速度 na
燃費(10・15モード) 12.2km/ℓ(ベースの2.0GT値)
CO₂排出量 190g(ベースの2.0GT値)
車両重量 1620kg
エンジン形式 水平4DOHCターボ、1994cc
エンジン配置 フロント縦置き
駆動方式 四輪駆動
最高出力 225ps/5600rpm
最大トルク 33.2kg-m/4400rpm
馬力荷重比 139ps/t
比出力 112.8ps/ℓ
圧縮比 9.0
変速機 5段A/T
全長 4740mm
全幅 1775mm
全高 1650mm
ホイールベース 2750mm
乗車定員 7名
燃料タンク容量 65ℓ
荷室容量 na
サスペンション (前)ストラット
(後)ダブルウィッシュボーン
ブレーキ (前)Vディスク
(後)Vディスク
標準タイヤサイズ 215/45R18

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