プリウスやi7が加わっても良かった! 鮮烈さが薄い? 2024年の欧州カー・オブ・ザ・イヤー候補たち(2)

公開 : 2024.03.02 09:46

際立つとはいえないノミネートも多い

MT:「EX30は、運転すると弱点が見えてきます。トラクション不足は、ちょっと前世代的。本当に良いクルマへ仕上がりそうに思えるのですが、準備が整う前に、少し急ぎすぎた印象です。フェイスリフトを待ちたい」

MS:「インフォテインメント用タッチモニターの使い勝手は、事前に聞いていたほど気になりませんでした。でも、メーターパネルを省くなら、ヘッドアップ・ディスプレイが欲しい。前方から目線をそらすと、ドライバー監視機能の警報が鳴りますからね」

プジョーE-3008(欧州仕様)
プジョーE-3008(欧州仕様)

「現状では、アラームを鳴らさずに走行速度を確認する手段がない。残念です」

「動的な性能では、シングルモーター版の一体感が高いことへ期待したい。今回試乗したツインモーター版はパワフルすぎて、グリップ力や姿勢制御が追いついていません」

「わたしは、ボルボへスポーティさを強くは期待しません。反面、落ち着いた安全志向のドライビング体験を与えられるはず。正直なところ、自分なら欧州COTYの候補には選ばないと思います・・」

MT:「俯瞰してみると、キアEV9とルノー・セニック E-テックは、それぞれの分野で秀でているようです。他方、充分な内容を備えつつ、際立つとはいえないノミネートも多い。複雑な状況かもしれません」

「満点に値するモデルはないように思いますが、得点を与える価値がないモデルもない。今回はプジョーE-3008を確かめられませんでしたが、セニック E-テックの動的な特性を評価する人と、E-3008のインテリアを評価する人で、二分されそうです」

強い印象を残したEV9とセニック E-テック

欧州COTYでは、審査員1人に25点が与えられ、1台に割り振れる点数は最大10点。明確なトップを1台選び、少なくとも5台に、配点しなければならないというルールがある。

正直なところ、EV9とセニック E-テックの2台が、今回の比較試乗で最も強い印象を残すとは想像していなかった。つまり、2023年に登場した新モデルが、いずれも鮮烈な印象を与えるものとはいえなかった、とも考えられる。

2024年の欧州カー・オブ・ザ・イヤー候補7台を乗り比べする英国編集部
2024年の欧州カー・オブ・ザ・イヤー候補7台を乗り比べする英国編集部

しかし、7台それぞれに明らかな強みはある。ターゲット層は大きく異なるはずだが、それぞれの特長へ強く惹かれたことも事実だ。

これをお読みになっている頃には、2024年の欧州COTYが発表されているはず。果たして、ベストに選ばれたモデルはどれだったのか?

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

2024年の欧州カー・オブ・ザ・イヤー候補たちの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

BYDの人気画像