ボルボ 次世代EV「EX60」にメガキャスティング導入か 生産効率アップ、CO2削減&軽量化も実現

公開 : 2024.05.13 06:05

環境負荷の低減にも貢献か

メガキャスティングには、環境面での利点もいくつかある。例えば、外部のサプライヤーなどから部品の輸送を減らすことができ、CO2排出量の削減につながると期待される。また、生産時に余ったアルミニウムは溶かして再鋳造することができるため、材料の利用率も向上するとされている。

ボルボは当初、品質管理の観点から新品のアルミニウムをメガキャスティングに使用する予定だが、将来的にはリサイクル金属の使用も検討している。

2022年に公開されたボルボのメガキャスティングの紹介映像。
2022年に公開されたボルボのメガキャスティングの紹介映像。    ボルボ

メガキャスティングには巨大な鋳造機が必要だが、ボルボが開発したマシンはリアトレイ1枚を約120秒で鋳造できるとのことだ。2台のマシンを並行して稼働させることで、1時間に車両約60台分を賄える。

2026年にメガキャスティング技術を導入するのは、スウェーデンのトルスランダ工場だ。スロバキアに建設中の新工場でも導入を計画している。

詳細はまだ明らかでないが、メガキャスティング技術の導入は次世代プラットフォーム「SPA3」の導入計画と連動することになる。SPA3は現行世代のSPA2をさらに発展させたもので、新型EX60に採用される可能性が高い。

現在のボルボのEVラインナップでは、小型のEX30と大型のEX90の間に空白があり、中型のEX60でこのギャップを埋めることになるだろう。こうした位置づけや、ボルボがSUVに重点を置いていること、人気の高いXC60に相当するモデルであることなどを考えると、EX60の重要性は極めて高い。革新的な生産技術の導入も自然な流れと言えるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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