7年目でも好感持てる「実力車」 ボルボXC60へ試乗 速度を問わず快適 振るわない4気筒

公開 : 2024.01.29 19:05

英国で高い人気を保つ内燃エンジンを積んだXC60 高級感を増したスタイリングに居心地の良い車内 気象条件を問わず平穏に遠くを目指せる 英国編集部が評価

依然として英国で高い人気を保つXC60

バッテリーEVの専門メーカーへ転身しつつある、ボルボ。だが従来的なXC60も、依然として高い人気を英国で保っている。

同じスケーラブル・プロダクト・アーキテクチャ(SPA)を採用した、XC90もさほど古くは感じられない。しかし、後継モデルとしてEX90が間近に控えている。英国ではS60やV60、S90、V90の販売は終了してしまった。

ボルボXC60(英国仕様)
ボルボXC60(英国仕様)

プレミアムSUVとして、XC60は混戦する市場で優れた評価を集めてきた。ライバルは、ランドローバー・ディスカバリー・スポーツやBMW X3アウディQ5など。発売から7年が経過しても、このクラスでトップ5に入る実力を持つ。

とはいえ英国では、モデル末期の接近とともにパワートレインの選択肢は減少。四輪駆動のみとなった。

2024年に選べるXC60は、ガソリン・ターボエンジンのB5の他、プラグイン・ハイブリッドのT6とT8という3種類。トリムグレードは、コア、プラス、アルティメットの3段階が用意される。

サスペンションは、フロントがダブルウイッシュボーン。リアはマルチリンクで、横方向に固定された複合素材のリーフスプリングが支える。コイルスプリングより軽くコンパクトなことが強みで、滑らかで上質な乗り心地を得られる構成といえる。

トップグレードのアルティメットでは、車高調整可能なエアサスが標準。試乗車もそれだった。

ステアリングラックは、電動機械式のラック&ピニオン。エコ、コンフォート、ダイナミック、オフロード、インディビジュアルの各モードで、重み付けや鋭さが変化する。

高級感を増したスタイリング 居心地の良い車内

スタイリングは、プラットフォームを共有するXC90と似ている。2022年に大きなフェイスリフトが実施され、高級感を増した。トールハンマーと呼ばれるヘッドライト内のデイライトを得つつ、独自の特徴も備えている。

北欧的な雰囲気を漂わせ、派手さはないものの、無感情的だったり、当たり障りない退屈なものとも異なる。充分な車内空間を備えつつ、プロポーションも良い。ボディサイズは先代よりひと回り成長。全高は縮んだが、最低地上高は高められた。

ボルボXC60(英国仕様)
ボルボXC60(英国仕様)

インテリアは美しく使いやすい。素材の質感も高く、XC90から乗り換えても見劣りしない。実際、違いは限定的で、エアコンの送風口やスイッチ類程度。ダッシュボード全体やセンターモニターなどは、XC90と基本的に共有する。

デザインは考え抜かれ、製造品質は高い。メーター用モニターは8インチで、中央のタッチモニターは9インチ。新しいライバルほどの革新性はなくても、居心地の良い、素晴らしい車内といえる。

インフォテインメント・システムは、グーグルと共同開発されたもの。アップデートを経ているが、まだメニュー構造は複雑。ドライブモードを切り替えるだけでも、3回タップする必要がある。

従来はスクロール・コントローラーが備わり、前方から目線を長時間そらすことなく変更できた。インターフェイスは、残念だが逆行したといわざるを得ない。安全性を重視するブランドとして、改めるべきでは。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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