【敷居の低いモータースポーツ?】 クラス分け絶妙 東京ベイサイド・クラシック・カップ・シリーズ(TBCC)

公開 : 2024.06.14 11:45  更新 : 2024.06.18 17:50

第45回東京ベイサイド・クラシック・カップ・シリーズ(TBCC)を取材します。ドライバーのスキルやクルマの性能に合わせて絶妙なクラス分けが行われるTBCCは、実は敷居が低い? のでしょうか。

東京ベイサイド・クラシック・カップ・シリーズ

クラシックカーのレースに参戦しているアルファ・ロメオといえば105系のジュリア・クーペが定番だと思いがちだが、実はそんなことはない。

105系のオープンモデルであるスパイダーでエントリーしている選手もいるのだ。東京ベイサイド・クラシック・カップ・シリーズ(TBCC)では常に3台のスパイダーが上位2クラスで戦っている。

第45回東京ベイサイド・クラシック・カップ・シリーズ(TBCC)
第45回東京ベイサイド・クラシック・カップ・シリーズ(TBCC)

TBCCの最上位クラスであるハイパークリスタル・カップで笹本和伸さんが走らせている1972年式アルファ・ロメオ・スパイダー・シリーズ2はその中の一台で、細部に至るまで徹底的にモディファイされている。

このスパイダーで笹本さんがTBCCを戦うのは3シーズン目だが、ドライバーの初参戦は2015年で、そのときの相棒はアルファ・ロメオ1300TIであった。

「20年ぐらい前から1300TIでサーキットを走るようになりました。この1300TIは純正の1300ccエンジンを積み、アルファ・ロメオのワンメイクレースであるAR-CUPに出ていたクルマです。

私のところに来たときには車体が錆びており、まず始めにボディを直しました。その後、エンジンの排気量を2000ccにアップ。筑波サーキットや、TBCCの会場となっている袖ヶ浦フォレストレースウェイをたくさん走りました。いまはスパイダー・シリーズ2でTBCCに参戦していますが、スーパークリスタル・カップにエントリーしていた1300TIもまだ所有しています」。

お話を伺いながら、何ゆえにアルファ・ロメオのオープンモデルを増車したのだろうか? と思ったので、笹本さんに質問してみた。

「スパイダー・シリーズ2のオーナーも私と同じショップでメンテナンスしていたので、その縁で譲り受けました。詳細を話すと、オーナーがレースをやらなくなり、5年ぐらいショップの一角に放置されていました。

それでずっと気になっていたのですが、向こうから買わない? と言ってきたので、増車してしまいました。放置されていた期間が長かったのでリセットするのが大変で、3年かかって、ようやくイイ感じになってきました」。

スキルやクルマの性能に合わせて絶妙なクラス分け

TBCCはドライバーのスキルやクルマの性能に合わせて絶妙なクラス分けを行っており、敷居の低いモータースポーツとなっている。

参考までに記すと、クラブマンズ・カップは予選/決勝時いずれかのベストラップタイムが1分30秒を超える程度、クリスタル・カップは1分25~29秒台程度、スーパークリスタル・カップは1分22~25秒台程度の車両/ドライバーが参加OKで、過去に1分22秒以下の実績/申告の車両/ドライバーはハイパークリスタル・カップで走っている。

笹本さんが以前TBCCで走らせていたアルファ・ロメオ1300TI
笹本さんが以前TBCCで走らせていたアルファ・ロメオ1300TI

上位2クラスのスーパークリスタル・カップとハイパークリスタル・カップは混走となるが、笹本さんに自身の愛車である1300TIとスパイダー・シリーズ2を比較してもらったらチューニングのレベルが違うとのことで、実際に拝見したら、たしかにボディがファイバー製で車両重量が700kg台後半まで軽量化されているスパイダー・シリーズ2は5速ドグミッションを積み、CRBB(デフケースをホーシング後方に設置したガイドレールに沿って上下方向にのみ動作させるシステム)などを装備していた。

エンジンの排気量は2000ccで、それに組み合わせているウェーバーキャブレターの口径は55φだったが、モディファイし、排気量を1300ccから2000ccにアップした1300TIもウェーバーキャブレターの口径が55φなのだという。街乗りをメインとする105系ジュリア・シリーズは40φが一般的なので、かなりの大口径ということになるだろう。

完全にレーシングスペックとなっているスパイダー・シリーズ2で公道を走ることはできないので、笹本さんは毎回レンタカーのトランポを使い、袖ヶ浦フォレストレースウェイまで愛車を運んできているのであった。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    高桑秀典

    Hidenori Takakuwa

    1971年生まれ。デジタルカメラの性能が著しく向上したことにより、自ら写真まで撮影するようになったが、本業はフリーランスのライター兼エディター。ミニチュアカーと旧車に深い愛情を注いでおり、1974年式アルファ・ロメオGT1600ジュニアを1998年から愛用中(ボディカラーは水色)。2児の父。往年の日産車も大好きなので、長男の名は「国光」
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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